インタビュー

「管理職は自分の夢への近道」業界歴25年の施設長に聞く!「サ高住の管理者」という仕事

神奈川県横浜市にあるサービス付き高齢者向け住宅 わかたけの杜
前回の記事では、わかたけの杜のサービスや特色に関して紹介しました。

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この記事では、わかたけの杜の管理者(施設長)である金井由紀(かない ゆき)さんに、スタッフとの関わり方やササービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の魅力、サ高住に向いている人などをお伺いしました!

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25年のキャリアから得た今。管理職は自分の夢への近道

___金井さんの経歴を教えてください。

金井由紀さん(以下、金井):私は、約25年前に社会福祉法人若竹大寿会に入職し、さまざまな施設や職種、役職を経験しました。
最初は、特別養護老人ホーム(若竹苑)に介護職員として入職し、数年後に介護老人保健施設(リハリゾートわかたけ)へ異動になりました。その後、ケアマネジャーの資格を取得していたので、居宅・施設のケアマネを経験。ケアマネから現場の介護職の管理者である介護長・副施設長などの役職を経て、今の職場であるサ高住「わかたけの杜」へ施設長(管理者)になりました。
現在、施設長になって3年目を迎えます。

___同じ法人で25年の経歴はすごいですね!順調にキャリアアップして、施設長になられたのでしょうか。

金井:そうですね……。管理職と現場職は違うだろうなとわかってはいたので、管理職の話をもらったときは正直、悩みました。
けれど、「利用者さんに良いサービスを提供する」という思いは、どの立場であっても変わらないと思い、ひとつの選択肢として管理職にチャレンジしようと思えました。
当時の上司から「上にあがることで、自分の夢を実現しやすくなるからやってみたらどうかな」と言われたことも後押しとなりました。

____自分の夢を実現しやすくなる、とはどういうことでしょうか。

金井:やはり、なにかを成し遂げたいと思ったときに、マネジメントをする立場であるほうが、実現への道は近くなります
現場で「これをしたい」と言い続けることも大切ですが、それが叶うまでには長い時間を要することもあるでしょう。管理職であれば、裁量権が増えたり、部下に協力してもらえたりもするので、より早くやりたいことが実現できると思います。

利用者の力を借りて、地域の手助けをしていきたい

___なるほど。金井さんの夢とは、なんでしょうか?

金井:私は、「利用者さんといっしょにわかたけの杜で『生活』をつくりたい」という思いがあります。
みんなで集まって、なにかひとつのことをできる場所が欲しいんです。
たとえば、近隣の地域に家を借りて、みんなで畑を作ったり、子ども食堂のような小料理屋を運営したりできたらいいなと思っています。
子ども食堂は、子どもだけではなく高齢者も集まるそうです。高齢者の安否確認できる場所になったり、交流してお友達が増えたりしてメリットはたくさんあります。
わかたけの杜の施設内にとどまらず、地域の一員として、地域の人とも関われるようにしていきたいですね。

わかたけの杜の利用者のみなさんは、生きる力にあふれています。「なにかをやりたい」という強い思いとそれを実現できる力のある方ばかりなので、何もしないのはとてももったいない。
だから、みなさんの力を借りて、困っている地域の人をみんなで助けられたらいいなと思います。

施設長という立場と信頼できるスタッフがいるからこそ、このような夢をもつことができると感じています。

管理職だからこそ、スタッフと対等な関係を築く。それが、利用者ファーストにつながっていく

___施設長として、スタッフの方とはどのように関わっていますか?

金井:あまり関わらないことを意識しています(笑)。
私の立場が上である以上、どうしても私の発言は重くなってしまいます。そんな意図がなくても、結果的に指示や命令になってしまうこともあります。
スタッフたちにやりたいことがあるときや自己決定をする場面において、私の発言や存在が邪魔してはいけません。
私の指示で動いてもらうのではなく、「こうしたいです」と自発的に動いてもらえる環境を整えるようにしています。それを繰り返すことによって、利用者さんからの困りごとの相談に、スピードのある対応ができるようになっていきます。
困りごとへの対処は、その場ですぐに解決できるのがベスト。
私に確認するのではなく、失敗してもいいので、自分で考えて対応してもらっています
スタッフの成長をできるだけ阻害しないように、どこまで口出すかは常に考えていますね。

___対等な関係を築かれているのですね。

金井:できるだけ、普段の仕事で上下を感じさせないように意識しています。
私の顔色ばかりをうかがうようになると、利用者さんのためではなく私によく思われるための言動になってしまうこともあるかもしれません。
スタッフには、いつも利用者さんファーストであってほしいので、私との関係性や雰囲気に対しても配慮していきたいと思います。

▲金井さんとスタッフの西條さん。なんでも気軽に話している様子から、お互い信頼を寄せていることが伺える

現場の経験を活かして判断する場面が多いサ高住

___サービス付き高齢者向け住宅の魅力とは、なんでしょうか。

金井:自由な暮らしができるところが魅力です。
特別養護老人ホームや有料老人ホームといった施設は、時間で制限されることも多いですよね。その施設のスケジュールに合わせて、生活しなければなりません。
一方、サ高住では、自分たちで選択してどう生活していくのか決められます。利用者さんが自分たちの意思で、自分たちの力で生活していけるのがサ高住です。
そのバイタリティにあふれたみなさんが困ったときに、お手伝いするのが私たちの仕事。身体的な介護というより、会話を通して精神的な支援をするほうが多いですね。

___サ高住はどのような人に向いていると思いますか?

金井:精神的な関わりが多いので、日常的な会話やコミュニケーションをとることに負担を感じない人が向いていると思います。

通常の介護職と異なる部分は、介助ではなくアドバイス(相談業務)をしていくこと。
たとえば、利用者さんの困りごとへの対処。自分が動いて介助をするのではなく、口頭でアドバイスをして利用者さんを良い方向へと導いていきます。
そして、その相談内容は多岐にわたります。
ケアマネジャーや特養・老健などの介護職は介護保険制度内でのサービスを提供しますが、サ高住は介護保険にしばられません。
たとえば、趣味嗜好である遊戯への付き添いの依頼があったとします。介護保険では対応できませんが、うちでは人員の確保さえできれば対応します。

___サ高住のスタッフは多くの対応をするのですね。スタッフとして気を付けるべきことはありますか?

金井:利用者さんの困りごとの内容やその状況によっては、判断が難しいときがあります。たとえば、利用者さんが倒れていたとき。救急車を呼ぶべきか、家族を呼ぶべきか、悩むでしょう。

うれしいことに、うちのスタッフは、全員が介護現場の経験がある有資格者。そんなとき、どういう対応をすべきか的確に判断できるスタッフが多いのです。
スタッフの資格・経験があるからこそ、判断を任せることができ、さまざまな状況や利用者さんのニーズに対応できていると思います。
おそらく、他のサ高住では、このようなサービスは行わないところのほうが多いのではないでしょうか。サ高住の要件として義務づけられているわけではないので、必要最低限の職員のみを配置するところもあるでしょう。
その点でいうと、わかたけの杜では、何かあっても安心して任せてもらえると感じています。

サ高住は身体介護を行う場面は少ないですが、現場の経験を活かして良い判断やアドバイスができる場所だと思います。
自立度合いやその方の性格などによっても判断は変わります。要支援・要介護認定を受けている利用者さんであれば、ケアマネさんと相談しながら判断します。その点は、他の施設の介護職と同じですよね。
そうやって現場の経験を活かして仕事ができるので、体力的な部分で介護職を離れなくてはならないような方は、サ高住を職場の選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。

自分にあった介護の仕事は、絶対にある

___全国の介護職員へメッセージをお願いします。

金井:介護の仕事って、いろいろな場面があります。
私も、特養や老健、サ高住などさまざまな施設を経験しました。施設形態だけではなく、職種や役職によっても、ガラッと仕事内容が変わります。
もし、今勤めている場所がつらくても、そこだけでダメだと思わないでほしいと思います。

介護の仕事が好きだからこそ、介護職を選んだと思うので、今の状況だけで判断しないでほしいと思います。
自分にあった介護の仕事は、絶対にあります
介護業界はいろいろな働き方や職場があるので、自分に合う場所をぜひ見つけてほしいと思います。

もし、転職を迷っているのであれば、利用者さんのことを判断軸にして考えてみてはいかがでしょうか。
利用者さんにとって、介護職は自分の人生に一歩踏み込んでいる人です。
利用者さんの思い出に残っている介護職も多く、退職となると利用者さんに悲しい思いをさせるでしょう。
その気持ちを汲んで踏みとどまることができるのであれば、もうしばらく今の場所で続けてもいいと思います。もし、踏みとどまれないのであれば、転職してほかの施設に行ってもいいのではないでしょうか。

自分の経験や特性を活かして、いろいろなことにチャレンジして、自分の介護職人生を極めていってほしいと思います。

編集後記

サービス付き高齢者向け住宅 わかたけの杜の管理者(施設長)である金井由紀さんにお話を伺いました。
太陽のような明るい笑顔で気さくに話す姿が印象的な方でした。利用者さんに対しても、明るく親しみやすい雰囲気を出しつつも、丁寧な言葉遣いで話す金井さん。利用者さんは、そんな金井さんの雰囲気に信頼をよせるのだろうと思いました。
スタッフに対して、良い部分をきちんと見ていたり、信頼して任せていたりするのが伝わってきて、とても良い人間関係を築いている職場であることが伺えました。

次回は、わかたけの杜の生活相談員であり、主任を務める西條さんに一職員としての思いをお聞きしました。ぜひお楽しみに!

※この取材記事の内容は、2018年11月に行った取材に基づき作成しています。

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