介護の職種

精神科ソーシャルワーカー!精神保健福祉士とは?受験資格や試験の詳細などを解説

精神保健福祉士とは、介護福祉士・社会福祉士と並んで、福祉の三大国家資格と称される資格です。
精神保健福祉士の資格を取得すると、精神保健福祉領域のソーシャルワーカーとして、心に病を抱える人の支援に関する専門的な知識・技術を持った人と認められます。

内閣府の平成28年版 障害者白書(概要)によると、国内の精神障害者の数は392万人以上。平成25年版 障害者白書(概要)によると精神障害者数は約320万人であることから、年々、精神に障害を抱える人は増えていることがわかります。

社会的ニーズは高まっているにもかかわらず、平成30年9月時点の登録者数は介護福祉士の1/20程度の約8万人と、まだまだ取得者が少ない精神保健福祉士。
需要が高まっている資格だからこそ、取得後の活躍の場は多いに広がっています。

この記事では、精神保健福祉士の受験資格や試験の詳細、合格率、最新試験の情報、活躍の場などの情報を徹底解説します。

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精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは、精神保健福祉領域において相談援助を行う人のこと。
1997年に「精神保健福祉士法」によって定められた国家資格です。精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)とも呼ばれています。

平成10年4月1日に施行された「精神保健福祉士法」の第1章第2条では、精神保健福祉士は以下のように定義づけられています。

精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十八項に規定する地域相談支援をいう。第四十一条第一項において同じ。)の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うこと(以下「相談援助」という。)を業とする者をいう。
出典:精神保健福祉士法

つまり、精神保健福祉士は、精神科病院などの医療施設で精神障害の医療を受けている人、または精神障害者の社会復帰の促進を目指す施設を利用する人から、相談を受けます。その相談に対して、助言や指導、日常生活に適応するために必要な訓練、そのほかの援助を行います。

平成7年に「精神保健法」が、精神障害者の福祉の増進と国民の精神保健の向上を図ることを目的とした「精神保健福祉法」へと改正されると、精神障害者の社会復帰を促進する精神保健福祉士の役割の重要性が認識されるようになりました。

近年では、精神障害を抱える人が増えており、ストレスとの付き合い方が問われつつあります。国民の精神保健を保持するためにも、精神保健福祉士の役割はさらに重要なものになっていくでしょう。

精神保健福祉士は「名称独占」の国家資格

国家資格には医師や弁護士のように、資格がないとその業務ができない「業務独占」と、資格を持っている人だけが名乗れる「名称独占」の2種類があります。

精神保健福祉士は、介護福祉士や社会福祉士と同様の「名称独占」の仕事です。名乗るのに国家資格が必要ですが、資格がなくても同じ業務ができることもあります。
とはいえ、精神保健福祉士の資格があれば、業務に必要な専門知識が十分にあると証明できるため、採用や給与面で有利に働くことがあります。

どうやってなれる?精神保健福祉士になるには

 

精神保健福祉士を目指すにはどうしたらいいのでしょうか。資格取得の流れを紹介します。

資格取得の流れ

精神保健福祉士の資格を取得するには、定められた受験資格を満たしたうえで、国家試験に合格する必要があります。

国家試験に合格後、公益財団法人社会福祉振興・試験センターに登録の申請をします。登録申請に期限はありませんが、国家試験に合格していても登録をしなければ、精神保健福祉士の名称を使用して活動することはできません。

主に5つのルートから受験資格を得る

精神保健福祉士試験の受験資格を得るには、全部で11のルートがあります。
しかし、そのルートは複雑でわかりにくくなっているため、もっと簡単に説明してほしいと考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、下記の5つのルートに絞って解説します。

ルート①:保健福祉系の大学・短大等で指定科目を履修すれば、養成施設卒業の必要なし

ルート①では、保健福祉系の大学・短大等で「指定科目」を履修して卒業した人の受験資格を得る方法を解説します。
4年制大学であれば受験資格を得られ、短大であれば相談援助実務を経験する必要があります。

  • 4年制大学:実務の必要なし
  • 3年制短大:要1年の相談援助実務
  • 2年制短大:要2年の相談援助実務

指定科目の詳細はこちら

ルート②:福祉系の大学・短大等で基礎科目を履修すると、6か月以上の短気養成施設卒業後、受験できる

ルート②では、福祉系の大学・短大等で「基礎科目」を履修して卒業した人の受験資格を得る方法を解説します。
4年制大学であれば、さらに6か月以上の短期養成施設等を卒業することで受験資格を得られます。短大であれば、相談援助実務を経験したうえで、さらに短期養成施設等を卒業する必要があります。

  • 4年制大学:実務の必要なし+6か月以上の短期養成施設等を卒業
  • 3年制短大:要1年の相談援助実務+6か月以上の短期養成施設等を卒業
  • 2年制短大:要2年の相談援助実務+6か月以上の短期養成施設等を卒業

基礎科目の詳細はこちら
短期養成施設の詳細はこちら

ルート③:社会福祉士は短気養成施設卒業で受験できる

ルート③では、社会福祉士の資格保持者が受験資格を得る方法を解説をします。
社会福祉士の登録をしている人であれば、6か月以上の短期養成施設等を卒業することで受験資格が得られます。

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ルート④:一般の大学・短大等の卒業生は、1年以上の一般養成施設卒業後、受験できる

ルート④では、一般の大学・短大等を卒業した人の受験資格を得る方法を解説します。
4年制大学であれば、さらに1年以上の一般養成施設等を卒業することで受験資格を得られます。短大であれば、相談援助実務を経験したうえで、さらに一般養成施設等を卒業する必要があります。

  • 4年制大学:実務の必要なし+1年以上の一般養成施設等を卒業
  • 3年制短大:要1年の相談援助実務+1年以上の一般養成施設等を卒業
  • 2年制短大:要2年の相談援助実務+1年以上の一般養成施設等を卒業

一般養成施設の詳細はこちら

ルート⑤:相談援助実務を4年間経験した人は、1年以上の一般養成施設卒業で受験できる

ルート⑤では、相談援助実務を4年間経験した人の受験資格を得る方法を解説をします。
4年の実務経験後、1年以上の一般養成施設等を卒業することで受験資格が得られます。

相談援助実務経験とは、精神障害者の相談、精神障害者に対する助言・指導、必要な訓練、その他の援助、援助を行うための連絡・調整などの経験を対象としています。

介助等の業務や乳児に対する相談援助業務は、実務経験の対象とならないため、気をつけましょう。

相談援助実務の詳細はこちら

精神保健福祉士の試験内容を知って、事前に対策しよう

精神保健福祉士国家試験は5つの選択肢を基本とするマークシート形式です。
全部で163問(共通科目の免除者は80問)が出題されます。

試験科目は全17科目

試験は筆記のみで、下記の全17科目から出題されます。

精神保健福祉士の試験科目
  1. 精神疾患とその治療
  2. 精神保健の課題と支援
  3. 精神保健福祉相談援助の基盤
  4. 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
  5. 精神保健福祉に関する制度とサービス
  6. 精神障害者の生活支援システム
  7. 人体の構造と機能及び疾病
  8. 心理学理論と心理的支援
  9. 社会理論と社会システム
  10. 現代社会と福祉
  11. 地域福祉の理論と方法
  12. 福祉行財政と福祉計画
  13. 社会保障
  14. 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
  15. 低所得者に対する支援と生活保護制度
  16. 保健医療サービス
  17. 権利擁護と成年後見制度

このうち、⑦~⑰までは、社会福祉士国家試験と共通の科目です。社会福祉士の登録をしている方は、共通科目の試験が免除されます。免除を受けるには、受験申込時に別途書類を提出する必要があります。

精神保健福祉士国家試験と社会福祉士国家試験は、同時受験も可能です。

合格基準は2つの条件を満たすこと

合格するには、下記の2つの条件を満たす必要があります。

ひとつは合格基準点以上の得点を取得していること。合格基準点は、総得点の60%を基準として、問題の難易度で補正して決められます。
試験の配点は1問1点の163点満点。社会福祉士の国家試験に合格して資格を所有している人は、80問の80点満点です。
平成30年2月に行われた第20回精神保健福祉士国家試験の合格基準点は、93点(試験科目の一部免除者は42点)以上でした。

もうひとつは、合格基準点を満たした人のうち、出題科目の全てに得点があることです。ただし、「⑤精神保健福祉に関する制度とサービス」「⑥精神障害者の生活支援システム」はひとつの科目としてみなされます。

受験手数料

受験手数料は、17,610円です。

同日に行われる社会福祉士を同時に受験する場合は、28,140円(内訳:精神保健福祉士受験料14,160円、社会福祉士受験料13,980円)となります。

一部試験が免除される場合(社会福祉士の国家試験に合格し、登録している人)は、14,080円です。受験申込時に別途書類を提出する必要があります。

受験前に要確認!試験に関する情報

精神保健福祉士国家試験は、年に1回、2月の土日に2日間に分けて行われます。社会福祉士国家試験との同時受験も可能です。どのルートで受験資格を得たかによって、必要な書類が変わるので注意しましょう。

受験申込の手続き
受験申込書の受付期間は、9月上旬から10月上旬までの1ヵ月間です。受験の手引をホームページまたは郵便はがきで請求し、期間中に郵送で申し込みます。受験料の払い込みも、期間中に行う必要があります。
試験地
試験地は、北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の7都道府県です。 1つの試験地に受験者が集中した場合には、他の試験地への振り替えられる場合があります。
合格発表
合格発表は3月中旬です。合格者の受験番号や合格基準、正答がホームページに掲載され、同日に結果通知が郵送されます。

 

下記では、前回(第20回)と次回(第21回)の試験情報の詳細を紹介します。

前回試験を参考に!第20回の精神保健福祉士試験の情報

 
平成30年2月3日(土)、2月4日(日)に行われた、第20回精神保健福祉士国家試験の結果は以下の通りでした。

第20回精神保健福祉士試験の結果
受験者数 6,992名
合格者数 4,399名
合格率 62.9%

出典:厚生労働省

合格者の61.4%にあたる2,702名が養成施設の卒業者、38.6%にあたる1,697名が保健福祉系大学などの卒業者です。

過去5回の合格率は、以下の通りです。

過去5回の合格率
第20回 62.9%
第19回 62.0%
第18回 61.6%
第17回 61.3%
第16回 58.3%

出典:厚生労働省

合格率30%前後の社会福祉士と比べると、精神保健福祉士は比較的高い合格率であることが分かります。

受験生は要チェック!第21回の精神保健福祉士試験の情報

第21回(平成30年度)の精神保健福祉士試験の詳細は以下の通りです。

試験日
平成31年2月2日(土)、3日(日)
試験時間
精神保健福祉士国家試験(専門科目):2月2日(土)13時30分から15時50分
精神保健福祉士・社会福祉士国家試験(共通科目): 2月3日(日)10時から12時15分

弱視等受験者や点字等受験者は、別途試験時間が長く設定されています。

合格発表日
平成31年3月15日(金曜日)14時
合格者の受験番号や合格基準、正答が試験センターのホームページ上で発表されます。同日に合格証書が投函されます。

試験合格後は登録を忘れずに

精神保健福祉士国家試験に合格後、公益財団法人社会福祉振興・試験センターへの登録が必要です。登録申請までの期間に期限はありませんが、登録をしないと精神保健福祉士の名称を使用して活動できないため、注意が必要です。

合格証書に同封されている登録申請に必要な書類や、登録手数料(4050円)を振り込んだ証書、登録免許税(15,000円)分の収入印紙などを、公益財団法人社会福祉振興・試験センターに簡易書留で送ります。

書類を受理された後で審査が行われ、問題がなければ登録簿に登録され、登録証が交付されます。

登録証が届くまでの期間は、1ヵ月程度です。合格発表直後の3月から5月は登録が集中するため、1ヵ月半程度かかります。

どんなところで働ける? 精神保健福祉士の活躍の場

精神障害者本人やその家族を援助し、日常生活の質を向上させ、社会復帰を目指す精神保健福祉士。活躍の場は大きく分けて以下の3つがあり、それぞれの職場で求められる仕事内容は異なります。

医療機関
精神科専門の病院やクリニック、総合病院の精神科、医療機関に併設されたデイケアなど。

主治医や看護師、作業療法士、臨床心理士などの多職種と連携するチーム医療の一員として、入退院の援助から退院後に社会生活へ移行する支援などを行ないます。

行政機関
自治体の福祉行政機関や保健所、福祉事務所、精神保健福祉センター、ハローワークなど。

行政機関での各種支援事業や手続き、案内といった業務を行います。精神保健福祉領域での相談援助の専門職として、関係機関とのネットワーク作りのコーディネート、就労支援、地域移行支援活動、地域住民への普及啓発活動などの実施や調整を行います。

生活支援施設
精神障害者福祉ホームや就労継続支援事業などの精神障害者の生活支援施設、地域生活を営んでいくための支援を目的とする相談支援事業所や地域活動支援センターなど。

就職支援、家事などの日常生活支援、地域生活支援など、各施設の目的に応じて支援や各種サービスを提供します。

そのほかにも一般企業でのストレス対策や職場復帰のための支援などをして活躍する精神保健福祉士もいます。また、保護観察所や矯正施設といった司法機関、介護保険施設などで精神保健福祉士を配置しているところもあります。
精神保健福祉士は、精神科のある病院に限らず、多くの場所で活躍することができます。

社会福祉士との違いは、支援する対象者

精神保健福祉士と同じく相談援助を行う国家資格に、「社会福祉士」があります。どちらもソーシャルワーカーであり、似ている点が多い資格です。

そんな社会福祉士との大きな違いは支援する対象者です。
社会福祉士は、高齢者をはじめ障害者や子ども、低所得者まで、さまざまな理由で身体面や精神面、そして経済面でハンディキャップを抱える人やその家族に対して相談援助を行います。
一方、精神保健福祉士の対象者は、総合失調症や高次脳機能障害、うつ病、薬物やアルコール依存症、発達障害などの精神疾患を持つ人やその家族です。

精神疾患のある人をサポートしたいという思いが明確に決まっている方は、精神保健福祉士を目指してみてはいかがでしょうか。

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