介護のキャリア

音楽の力で福祉現場で活躍!「音楽療法士」とは?資格の取り方から試験情報、仕事内容・給与まで全解説

近年、高齢化の影響を受け、医療や福祉の分野を中心に需要が高まりつつあるのが「音楽療法士」です。
音楽療法士とは、身体・精神に障害がある人に音楽によるリハビリ(音楽療法)を行い、心身機能のサポートする人のこと。
音楽によって、治療や生活の負担軽減に寄与するため、利用者さんや患者さんの暮らしをサポートできます。音楽療法には大きなメリットがあるため、今後、音楽療法士の需要は伸びると考えられます。

実際に音楽療法士になるためにはどうすればいいのか、資格の取得方法や実際の働き方など、気になっている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、資格の必要性や取得方法、仕事内容、活躍の場、給料など、音楽療法士について知りたい方必見の情報を紹介します。

音楽療法士とは

音楽療法士とは、身体・精神に障害がある人に音楽によるリハビリテーションを行い、心身機能の維持・改善や障害の回復、生活の質の向上をサポートする人です。

音楽を鑑賞したり、演奏したり、歌ったりすることによって、ストレスを緩和する効果が期待されます。音楽によって、身体や精神機能の維持・回復、生活の質の向上、行動の変容などを目指す一連の療法を「音楽療法」と呼びます。

この音楽療法を行う専門職が音楽療法士です。

日本における音楽療法のなりたち

日本では、1986年に日本バイオミュージック研究会が設立し、1994年に臨床音楽療法協会が設立しました。1997年には、両団体が合同した組織である全日本音楽療法連盟が音楽療法士の認定を開始します。
その後、全日本音楽療法連盟は発展的に解消され、2001年には、日本音楽療法学会が設立されました。

どこで働ける?音楽療法士の活躍の場と仕事内容

音楽療法士は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなどの介護施設、障害児発達支援センターなどの障害児・障害者施設、精神科や認知症病棟、リハビリテーション科、小児科の病院、特別支援学校や保育園などの教育・保育の場など、さまざまな職場で活躍しています。

音楽療法士は、各施設を利用している高齢者や障害者、子どもと、なつかしい歌謡曲やアニメの主題歌、童謡、民謡などを一緒に合唱・合奏したり、演奏を聴いたり、音楽を使ったストレッチや健康体操などの音楽療法を計画して実施します。

癒しとリハビリ効果に期待!音楽療法の効果

音楽には、感情中枢や副交感神経・交感神経に影響を与えて、脳内物質の分泌を促進したり抑制したりする作用があります。そのため、音楽を聴いたり、奏でたりすると、心身の癒し効果が期待できます。

音楽に合わせて体を動かすことは、身体機能の維持や向上、リハビリテーションにもつながります。動きやリズムを周りの人と合わせることで、一体感を得たり、仲間と達成感を共有できたりするのも、音楽療法に期待できる効果です。

認知症の方には、最近の出来事(短期記憶)は失われやすくても、昔の出来事(長期記憶)は失われにくいという特徴があります。なつかしい音楽を聴いて昔の記憶を引き出すことで、日頃記憶に関する混乱がある人でも正しい記憶がよみがえってきたり、自分の話をしたりするきっかけを作ることにも役立ちます。

音楽療法士は音楽療法の効果を理解したうえで、どんな楽器や音楽にするか、ひとり(個別)かグループ(集団)かなど、目的や対象者に合わせた音楽療法プログラムを計画して実施します。

音楽療法士は資格がなくても始められる仕事ですが、効果的な音楽療法を実施するには、専門的な知識が欠かせません。

資格は必要?音楽療法士になるには

音楽療法士は、資格がなくても働くことができます
実際の求人をみると、「楽器が演奏できる方」「福祉への興味がある方」など無資格でも応募可能な求人もあります。
しかし、音楽療法士の代表的な資格である「認定音楽療法士」が必須または歓迎の求人が多いため、日本音楽療法学会が認定する「認定音楽療法士」を取得することで、応募できる仕事の幅が広がります。さらに、専門知識があることの証明にもなるので採用されるチャンスも高まるでしょう。

音楽療法士になるには、「認定音楽療法士」の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

下記では、認定音楽療法士の資格取得の方法を紹介します。

認定音楽療法士の資格取得の方法とは

認定音楽療法士の資格を取得するには、日本音楽療法学会が実施する試験に合格する必要があります。受験資格を得るには、2つの方法があります。

それぞれ参加に必要な条件や、資格取得までの流れが異なりますので、詳しく解説していきます。

資格取得のルートは主に2つ

認定音楽療法士の資格を取得するには、年に1度行われる音楽療法士(補)試験(筆記試験)合格後、面接試験に合格する必要があります。

音楽療法士(補)試験の受検資格を取得する方法には、大きく分けて2つあります。
ひとつは認定校で必須単位を履修する「認定校コース」。
もうひとつは、日本音楽療法学会が主催の資格取得のための制度に参加する「必修講習会コース」です。

受験資格ルート①:認定校コースについて

 
認定校コースとは、臨床経験(※後述)がなくても試験合格によって、認定音楽療法士の資格を取得できる方法です。日本音楽療法学会が認定する「認定校」に指定されている大学や専門学校で必須単位を履修すると、卒業見込み時に音楽療法士(補)試験の受験資格が取得できます。

認定校は、全国に18校(2018年9月時点)あります。

認定校リスト(全国18校)
  • 札幌大谷大学
  • 茨城音楽専門学校
  • 国際音楽療法専門学院
  • 東邦音楽大学
  • 国立音楽大学
  • 東京心理音楽療法福祉専門学校
  • 日本大学芸術学部
  • 聖徳大学
  • 昭和音楽大学・大学院
  • 東海大学
  • 長野医療衛生専門学校
  • 名古屋音楽大学
  • 名古屋芸術大学
  • 同志社女子大学
  • 相愛大学
  • 武庫川女子大学
  • くらしき作陽大学 ※音楽療法専攻新入生募集なし
  • 平成音楽大学

出典:一般社団法人日本音楽療法学会

受験資格ルート②:必修講習会コースについて

必修講習会コースとは、合計5年間の臨床経験のある方が参加できる「必修講習会」を受講し、認定音楽療法士の資格を取得する方法です。以下の3つの条件を満たせば、必修講習会コースに参加できます。

必修講習会コース参加要件
  1. 大学・短期大学・高等専門学校・2年以上の専門学校のいずれかを卒業していること(学部・専攻不問)
  2. 日本音楽療法学会の正会員(※注1)であること
  3. 音楽を使用した2年以上の経験を含む臨床経験(※注2)が5年以上あること(音楽療法士(補)試験の受験申請時までに合計5年となる場合も可)

※注1:日本音楽療法学会の正会員になるには、日本音楽療法学会ホームページの「各種手続き」の入会案内から申し込み、入会金(5,000 円+正会員年会費 10,000 円+認定規則書代 500 円=合計 15,500 円)を郵便振替口座へ払い込めば入会手続き完了。

※注2:臨床経験とは、医療・教育・福祉・心理の現場において、対象者と直接かかわる経験のこと。この場合の臨床経験は、音楽を使用した臨床経験(例:音楽療法士、音楽教員、音楽レスナー、音楽を使ったレクリエーション指導など)に限らず、音楽を使用しない臨床経験(例:教師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・医師・看護師・介護士・支援員・ガイドヘルパー等)も可。
ただし、一般演奏活動・訪問演奏活動や事務職などは、対象者と直接かかわる経験とはみなさない。教員、保育士、社会福祉士、理学療法士などの資格取得のための実習は、臨床経験としては認められない。資格取得目的以外の臨床経験は認められる。

出典:一般社団法人日本音楽療法学会 認定規則(必修講習会コース)

上記の参加要件を満たしたら、音楽試験(ピアノ実技・音楽理論)を受験します。
音楽試験は年に1回で、2018年は7月に行われました。2018年の受験料は1万円で、合格定員の上限は120名でした。

音楽試験に合格すると必修講習会に進みます。
必修講習会は全90コマで、全てを修了するまでに約2年半かかります。

必修講習会を受講し、下記2つの条件を満たせば、音楽療法士(補)試験の受験資格取得となります。

(補)試験の受験資格①:音楽療法関連分野(医学・心理学・福祉・教育)18単位の取得

各自で大学や通信教育などで、音楽療法関連分野(医学・心理学・福祉・教育)18単位を履修します。卒業した大学や専門学校などですでに単位を履修している人は、18単位に含むことができます。

18単位の内訳

医学 医学概論 解剖・生理、治療学、症候学、チーム医療など
臨床医学各論Ⅰ 精神医学、心身医学、老年学など
臨床医学各論Ⅱ 小児学、内科学、リハビリ学、関連医学など
心理学 臨床心理学Ⅰ 心理学、面接法、心理テスト、行動評価、統計法を含む
臨床心理学Ⅱ 心理療法の諸理論と技法
発達心理学 (教育心理学含む)
福祉 社会福祉概論 福祉システム、関連法、児童・老人・地域福祉
介護概論
教育 障がい児教育 (障がい学を含む)

出典:一般社団法人日本音楽療法学会 認定規則(必修講習会コース)

※それぞれの分野から最低2単位ずつの取得が必須。残りの10単位はどの分野の科目でも構わない

(補)試験の受験資格②:学会参加など、200ポイントの取得

学術大会参加、研究発表、3回以上のスーパービジョン(1回1時間以上)受講、必修講習会以外の講習会の受講をポイントで換算し、200ポイントを取得します。

ポイントに関する詳細はこちら

音楽療法士(補)試験(筆記試験)について

 

日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)試験は、年に1回行われます。

試験内容は、マークシートを用いた選択式問題100問と小論文。日本音楽療法学会「カリキュラムに関するガイドライン11」 に基づき、音楽療法科目を中心として教科全般から出題されます。

この小論文は面接試験の口頭試問の対象となります。ただし、小論文は同一年度の面接試験の受験時にのみ有効です。

認定音楽療法士(補)試験に合格すると、「学会認定音楽療法士(補)資格」の取得となり、面接試験を受験できます。「学会認定音楽療法士(補)資格」には、有効期限はありません。

次回の音楽療法士(補)試験情報

第18回となる次回の日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)資格審査(筆記試験)は、2019年1月13日に行われる予定です。
受験申請期間は、2018年11月16日(金)から11月30日(金)まで。受験料は1万円です。

面接試験について

 

面接試験を受験するには、日本音楽療法学会の正会員で、下記5つの要件のうち、いずれかひとつを満たす必要があります。

面接試験申請資格
  1. 「補A」
  2. 認定校を卒業見込みまたは卒業した者で、(補)資格を取得し、同一年度に面接試験を受ける者

  3. 「補B」
  4. 認定校を卒業し、(補)資格取得と別年度に面接試験を受ける者

  5. 「一般コース(補)」
  6. 日本音楽療法学会音楽療法士認定制度により、認定音楽療法士(補)の資格を取得した者

  7. 「海外資格取得者」
  8. 日本国外の音楽療法士養成機関などにおいて音楽療法士資格を取得している者

  9. 「資格失効者再取得」
  10. 日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格を失効し、再取得を希望する者

出典:一般社団法人日本音楽療法学会 認定規則(面接試験)

面接試験は、(補)資格試験の小論文をもとにした口頭試問と、弾き歌いの実技があります。楽器はキーボード(ピアノ)もしくはギターです。

次回の面接試験情報

次回の面接試験日は2019年3月9日(土)、3月10日(日)です。
受験申請期間は、2019年1月28日(月)~2月12日(火)まで。受験料は1万円です。

気になる!音楽療法士の給料

東京都近郊の求人情報を参考に、音楽療法士の給料を見ていきましょう。

音楽療法を行っている介護施設の音楽療法士の求人情報(正社員)をみると、基本給+各種手当で月給17万5000~23万円。介護職員の給与と比較しても、大きな差はありませんでした。仕事内容には、介護業務も含まれる場合が多いようです。

施設勤務ではなく、取引先の高齢者施設を訪問して音楽療法を提供している会社もあります。介護施設で働くわけではないので介護業務は含まれません。そのような職場の正社員の求人情報をみると、基本給+各種手当で月給21万~22万5000円でした。
正社員以外にも、1セッション数千円で依頼を受ける業務委託の募集もありました。

海外ではメジャーな資格!音楽療法士の将来性

 

日本では、まだまだ認知度の低い音楽療法士ですが、海外では専門職として認められているところもあります。
アメリカでは、1950年代に音楽療法士養成プログラムが発達し、多くの臨床によってその効果が確立されています。音楽療法は、海外ではすでにメジャーな存在だといえるでしょう。

日本でも高齢者の増加とともに、音楽療法への注目は高まってきています。音楽療法を取り入れるクリニックやデイサービス、高齢者施設も増えており、音楽療法士の需要は年々上がっていくと考えられます。

日本でも日本音楽療法学会が中心となり、音楽療法士の国家資格化を目指す動きが出ています。音楽療法士が国家資格として認められれば、社会の評価も上がり、求人件数の増加が見込めるため、今後多いに期待できる資格といえるでしょう。

 

参考文献

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