インタビュー

「ニーズがあるところへ、私は行きたい」現役訪問介護員に聞く!訪問介護で働くということ

指名制度を導入し、医療的ケアにも対応できる訪問介護事業所「NPOグレースケア」。
前回の記事では、特色である指名制度を中心にNPOグレースケアについて紹介しました。
前回の記事はこちら

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今回は、NPOグレースケアの副所長であり、トータルケアコーディネーター(サービス提供責任者にあたる業務)の加守田久美(かもたくみ)さんに普段の仕事内容や訪問介護を選んだ理由、訪問介護の魅力などをお伺いしました。

訪問介護の経験がない人や訪問介護で働いてみたい人、施設の働き方で悩んでいる人など多くの介護士さんにとって参考になる内容ですので、ぜひご一読ください!

テレワークを利用して自宅で仕事ができる!柔軟な働き方

___普段はどのようなお仕事をしていますか?

加守田久美さん(以下、加守田):メインは、ヘルパー調整などを行うコーディネーターのお仕事をしていますが、勤務時間の半分ほどは現場に出て、利用者さんの自宅でサービス提供をしています。
直接事業所へ行って事務作業をするときもあれば、利用者さんの元へ直行してサービス提供するときもあります。
事務作業は、介護サービスをヘルパーに依頼するなどのヘルパー調整やケアマネジャーへの連絡が多いですね。グレースケアでは、移動時間を短縮するために積極的にテレワークを活用して、自宅などで調整業務もできます
自宅でのテレワークの場合は、パソコンでメールや介護ソフトを活用して調整を行います。移動時間の合間でしたら、スマホやタブレットを使ってファミレスでもできます。
定期的にミーティングが行われたり、帳票類の整理をしたりするので、事業所にいる時間も大切です。
柔軟な働き方ができています。

___よくある一日の流れを教えてください。

加守田:そうですね……出勤時間は本当にバラバラです。7時スタートのときもあれば、9時のときもあります。
今日でいうと、9:00~10:00は事業所で事務作業、10:30~13:30は現場でサービス提供、13:30~14:30で移動を含めた休憩をとります。そのあと 14:30~16:00でまた事務作業をし、16:00~18:00は現場でサービス提供して1日が終了します。

【加守田さんの1日の流れの例】
09:00~10:15 事業所で事務作業
10:15~10:30 バイクで移動
10:30~13:30 現場でサービス提供(区分は身体5生活1)
サービス内容はモーニングケア。起床介助、服薬介助、水分補給、更衣介助、排泄介助など
13:30~14:30 移動&休憩
14:30~15:45 事業所で事務
実施記録簿を確認しながら、提供した訪問介護サービスの実績登録をしたり、お休みを取っているヘルパーの定期のサービスを他のヘルパーや社員にまわして調整したりする
15:45~16:00 バイクで移動
16:00~18:00 現場でサービス提供(区分は身体4)
サービス内容はたん吸引や経管栄養、文字盤コミュニケーションなどの対応

個別性を重視できる仕事を求めた結果、訪問介護を選んだ

___加守田さんの介護の経歴を教えてください。

加守田:私はもともと障害者の方のケアからはじめました。ガイドヘルプや通所介護などを含めて、障害者に関わる仕事を約10年勤め、それから訪問介護へ転職しました。一般的な訪問介護事業所で4年間勤め、次に難病の人を専門とする訪問介護事業所で1年、その後ホームホスピスで2年経験し、グレースケアに転職しました。グレースケアに転職してから、早いもので1年ほどが経ちましたね。

___どうして訪問介護を選んだのですか?

加守田:私は、自分が年を重ねて利用者の立場になったときに「最終的に自宅で過ごしたい」という思いがあります。
ケアをしてもらう立場になったとき、なぜ住み慣れた自宅を離れてほかの場所に移らないといけないのだろうと思うのです。
私は可能な限り自宅で暮らし続けたいと思っています。

そう考えたときに、自分の将来につながるサービスである「訪問介護」で働こうと思うのは必然でした。
また、訪問介護で出会った利用者さんの多くも「やっぱり家がいいなぁ」と言います。
やはり、そう願う方は多いんだと感じました。
しかし、それはたまたま私の考えがそうであっただけです。
たとえば、高齢になって家でひとりで暮らすのは不安だから、施設で24時間手厚いサービスを受けたい方には施設へ入所するという選択があって良いと思います。

___なるほど!自分の将来と結びつけたのですね。

加守田:そうですね。ほかにも、個別対応を重視したことも大きな理由となります。
私は、障害者の通所介護から訪問介護へ転職しました。
障害者へのケアは障害の種別も対応のしかたも異なるので、比較的個別性を重視したサービスを提供しているように感じます。
しかし、障害者ケアから高齢者ケアへ移ったときに、施設だと個別対応はなかなか難しいのではないかと感じました。
施設はどうしても利用者さんや働く職員を管理しないと組織を運営できない部分があると思います。
決まった時間でサービスを提供したり、限られた人員で仕事を回すためにさまざまな効率性や合理性を求められる。これは施設運営のためには仕方のないことですが、高齢者介護でも障害者支援で経験した、より個別性を重視できる仕事をしたくなりました。
自分ひとりで3人の利用者さんをみるよりは、ひとりの利用者さんと向き合いたい」という気持ちを追求した結果、訪問介護という働き方を選びました。

ニーズがあるところに行く、それがたまたま訪問介護だった

___実際に訪問介護で働いてみて、自分に合っていると思いますか?

加守田:私自身は、訪問介護で働いてみて、自分に合っていると感じます。
私がやりたいことは、利用者さんに対するケアですが、もし施設で働いていたら、職場内での人間関係や組織運営といった、仕事とは離れた部分に多くの時間を割かれるのではないかと感じます。
もちろん、訪問介護でも多少なりともそういう部分はあるし、それぞれの利用者さんの宅でのやり方は違うので、膨大な情報を覚える大変さもあります。
訪問介護は、周囲に人がいないという密室性が高いサービスなので、自分が行っているサービスが正しいのか、スキルアップにつながっているのかなどを判断してくれる客観的な視点や評価基準が少ないのも現状としてあります。

それでも私は、訪問介護がいいですね。
自宅にいたいと思っている利用者さんに対して、サポートができていると実感します。

しかし、必ずしも在宅介護がいいとは限りません。
たとえば、衛生面で問題がある自宅に、これからも住み続けたいという本人のニーズがある場合など。さまざまなケースで「自宅に住むことが本当にご本人にとって幸せなのか?」と疑問に思うことがあります。そして、それは私ひとりでは判断できません。
利用者さん本人の希望やご家族の介護力、経済力、地域のサービスなどすべてを考慮して関わるチーム全体で話し合いを重ねて決めていきます。

疑問に感じることや難しいケースを乗り越える必要なども含めて、訪問介護にはやりがいがあります。

___どういうときに訪問介護で働いてよかったと思いますか?

加守田:私は、難病やターミナルの方、医療的ケアが必要な方や児童を多く担当しています。
実は、そういう人を受け入れてくれる施設は、多くはありません。在宅介護を選ぶというよりは、在宅介護を選ぶしかない状況です。そういう人をサポートするには、医療的ケアなどの専門性を高める必要があります。
医療や看護、リハビリ職との連携もより重要となります。
そういった専門性を高めたり、他職種との連携をしたりすることに、大きなやりがいを感じます。

現在、地域包括ケアシステムがうたわれていますが、その地域ってどこだと思いますか?
地域には、自宅だけでなく施設も含まれていると思います。しかし、ご家族が少し休みたいと思ってレスパイト(※)を希望しても医療的な制約のためにショートステイから受け入れてもらえないことも現実にはあります。自宅で生活したい人だけではなくて、自宅で生活せざるを得ない人も地域にはいるのです。
そういう人も含めた多くの人が、在宅生活をするためにサービスを必要としています。
ニーズがあれば、私は行きたいです。それが、たまたま訪問介護だったというだけですね。

※レスパイトとは、『一時休止』『休息』『息抜き』という意味。
レスパイト入院とは、障害や難病の方の在宅ケアをしている介護者の事情により一時的に在宅介護が困難になった場合に短期間入院できる機能。

エンパワーメントの視点・柔軟性・体力のある人が訪問介護に向いている

___訪問介護を他の介護職員におすすめしたいと思いますか?

加守田:その人その人によって、適正があると思います。
訪問介護事業所で非正規雇用の登録ヘルパーで働くとなると、収入に波があります。
しかし、グレースケアの場合は、介護保険サービスだけではなく長時間の自費サービスも多いので、他の事業所よりも収入は高いと思います。登録ヘルパーでも法定どおり、一定の時間数を超えると雇用保険や社会保険にも加入しています。生活を自立させたい人、がんばった分の報酬をきちんと得たい人は、自分のがんばり次第でより多くの収入を得られます。そこが、グレースケアの最大のメリットです。

また、働く曜日や時間を自分の都合に合わせて決めていきやすいので、子育てや介護、音楽やアートなどの活動や別の仕事などとの両立が図りやすいのも特徴といえるでしょう。炎天下や雪が舞う中でも利用者さんの自宅へ行かなければいけませんが、自然の移ろいを肌で感じることもできます。そういったことが好きなら訪問介護は特におすすめです。
ただ、施設で働くことに安定性ややりがいを感じている人は施設のほうがいいと思います。

___どういう人が訪問介護に向いていると思いますか?

加守田:エンパワーメントに力を入れられる人が向いていると思います。エンパワーメントとは、どのようにサポートすればその方のできないことができるようになるのかを考えることです。このような視点で動ける人は訪問介護にあっていると思います。

それから柔軟性も必要です。
訪問介護では、多くの利用者さんの家を訪問します。一つひとつの家でルールややり方がまったく違うので、柔軟な対応が求められます。
掃除の仕方ひとつでも、はたき掃除をして掃除機かけてぞうきんがけをしてほしい人もいれば掃除機だけでいい人など、その家によって違います。自分のやり方を通したいという人はあわないかもしれません。

そして、やっぱり体力はいりますね!
訪問介護は、一日に何軒もお家を回ります。利用者さんは生活するためにヘルパーを利用しているので、台風のときでも関係なく行く必要があり、体力は大事ですね。

プライベートを充実させることで、自分の提供するケアが良くなっていく

___さいごに、同じ介護職員の方々へメッセージをお願いします。

加守田:私は、介護の仕事で大切なことは「対人援助技術」だと思います。
身体介護などの介護スキルももちろん重要だけれど、相手の方とどのように信頼関係を作り上げるか、最終的にはそこに尽きるのではないかと思います。
関係を築くためには、介護の知識やスキルだけではなくて、教養や趣味などの話をすることも大切です。
私は野菜作りが趣味なので、利用者さんに野菜作りの話をします。最近は忙しいので、あまり野菜作りをできていませんが……(笑)
野菜作りじゃなくても、本や旅行の話など何でもいいと思います。話すことがなければ、新しいことを始めましょう。プライベートを充実させることによって、自分の提供するケアにプラスされて現れてくると思います。

編集後記

訪問介護事業所の副所長である加守田久美さんに、訪問介護についてお伺いしました。
介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)の有資格者で医療的ケアの対応もできる高いスキルを持った訪問介護員です。
高いスキルや知識だけでなく、自分の考えもしっかり持ち合わせており、多くの利用者さんは彼女の聡明で落ち着いた雰囲気に安心感を感じて信頼を寄せるのだろうと思います。
自宅という最大のプライベート空間に日常的に来てもらうとなると、利用者さんにとって、ヘルパーの人となりは気になるところ。
きっと多くの訪問介護員はスキルだけではなくそういった部分にも気を配っているのではないでしょうか。
介護スキルだけではなく、さまざまな人と一対一で対応できるほどの高いコミュニケーション技術を得られる訪問介護。
働く側として、多くのメリットを得られるのではないかと思います。

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