インタビュー

圧倒的な地域密着を実現!社会福祉法人が運営する介護付き有料老人ホーム 杜の癒しハウス文京関口の取組とは

東京都文京区は、都心でも閑静で、落ち着いた雰囲気が漂う街です。その文京区にある老人ホームが、介護付き有料老人ホーム 杜の癒しハウス文京関口

設立から6年目を迎える杜の癒しハウス文京関口は、地域密着に関するあらゆる取組をしてきました。有料老人ホームだからこそ、また社会福祉法人が運営する有料老人ホームだからこそできることを余すところなく実現する施設です。

そんな杜の癒しハウス文京関口を運営する施設長の柳沼亮一(やぎぬまりょういち)さんに、杜の癒しハウス文京関口の特色をお伺いしました。
有料老人ホームで働いたことがないけれど、働いてみたい方、地域貢献したい方は特に必見です!

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圧倒的な地域密着、それが杜の癒しハウス文京関口の特徴

___有料老人ホーム 杜の癒しハウス文京関口とは、どのような施設でしょうか?

柳沼亮一さん(以下、柳沼):杜の癒しハウス文京関口は、平成25年9月に開設された介護付き有料老人ホームです。社会福祉法人が運営する数少ない有料老人ホームで、開設から6年目を迎えます。5階建てで、1~4階は要介護や要支援の方が、5階は自立の方が利用されています。

___杜の癒しハウス文京関口には、どのような特色があるのでしょうか?

柳沼:実は、代表的な特色がなく、なにもないのが特徴かもしれません。
杜の癒しハウス文京関口では、利用者さんたちが自分たちで生活しやすいようにするためのアプローチをかけていく支援をしています。

そうなったのは、あるひとりの元気なおじいさんがきっかけでした。
そのおじいさんは、娘さんと入居の相談に来ていました。そして、娘さんがいないときに私にぼそっと「ぼくは終わった。とうとう引退になったよ」と言ったんです。
おじいさんにとって自分の家は、奥さんがいつも隣にいて、娘を育てて、最後までバリバリと仕事をした思い出が全部つまっている場所。自分が主役として活躍した舞台なんです。
だから、娘さんにある日「お父さん、そろそろ老人ホームに入居したら」と促されたときに、自分の舞台から降りる、終わりを告げられたと思ったそうです。

そうおじいさんに伝えられたときに、「引退するところの施設長っていやだな」って感じました。
私の施設を人生の墓場ではなく、もう一度自分の人生をこの場所ではじめられる場所にしたい。杜の癒しハウス文京関口を自分のお家のように感じてもらえるように、ニーズをできるだけ叶えてあげたり、地域との交流を盛んにしたりして、開かれた施設にしたいと思いました。

___開かれた施設とはどのようなことでしょうか?

柳沼:たとえば、1階のロビーは無料で開放しているので、地域の方が自由に出入りできます。カラオケを歌って帰る人もいます。

また、施設の駐車場は、お祭りのときにお神輿が休憩する場所である神酒所(みきしょ)にもなっています。
さらに、水害が多い地域なので、災害時は「入居者の部屋以外は解放する」という契約をしているため、地域の方が避難しにくることも可能です。
消防車も出動する本格的な避難訓練は、町会の人と一緒に行っていて、避難訓練後に炊き出しともちつきをして地域の人にふるまったりもしています。
夢の本箱といって、社会協議会や地域の人とコラボして行うこども食堂もスタートしました。地域から回収した古本を売り、そのお金を資金にしてこども食堂を開催します。先日は、社会福祉協議会の発行物である「分社教だより」に掲載させてもらいました。

自宅に住んでいたら地域との関わりってありますよね。ここでは、施設に入所したからといって、地域から疎外されることはありません。自宅のように感じられる、圧倒的地域密着。それが、特徴かもしれません。

地域との連携のために働く「地域包括ケアシステム担当」が誕生

___素晴らしい取組ですね!しかし、地域との連携は、調整や連絡が大変ではありませんか?

柳沼:それが、大丈夫なんです。
というのも、生活相談員とは別に「地域包括ケアシステム担当」という職種を今年度から新たに設けたことが理由にあります。地域との連携のため「だけ」の職員です。
地域との交流のためにいろんなことをしたいけれど、担当がいないからなかなか話が進まないという課題がありました。
施設長の私は、施設にいないこともありますし、職員はシフト制だから、いつも同じスタッフが対応できるわけではなく、地域の方に不便をかけてしまします。それを解決するためには、担当がひとりいればいいのではないかと考え、「地域包括ケアシステム担当」をつくりました。
人手が足りないなかでしたが、現場で5年働いていた職員に異動してもらい、とても活躍してもらっています。

地域包括ケアシステム担当の具体的な成果のひとつとして「オレンジカフェ」(※)の運営があります。
オレンジカフェは施設が主催すると補助金が出ないので、赤字になります。
赤字になるうえに、地域の方にオレンジカフェの開催の周知をすることも難しく、なかなか参加してもらえません。このままでは、地域貢献事業としての成果が得らえないので、地域貢献事業を行うためにはどうしたらいいかを考えて、自治会や地域の方に手伝ってもらうことにしました。
会長に、自治の取組としてオレンジカフェの団体を設立してもらい、地域の方には代表をしてもらい回覧板などで地域に情報を流してもらいました。さらに、地域の団体なので、規約と通帳も作ってもらいました。
社会協議会にも入ってもらうことで、オレンジカフェの助成金を区社会福祉協議会から支給してもらいます。
そして、私たちはその団体に場所と人手を提供して運営します。こうすれば、赤字にならずに地域の人に知ってもらうことができ、喜んでもらえる場所を提供できます。

地域包括ケアシステム担当の彼がいなければ、このカタチを作り上げることはできなかったでしょう。
担当を置いたおかげで、社会協議会との連携もしっかりとれますし、施設長の私がいなくても打合せができます。ひとりまとめ役がいるだけで、こんなにも違うのかと実感しています。

※オレンジカフェとは、認知症カフェともいい、認知症の方とその家族、地域住民の方、専門職の方など、誰でも参加できる場所。お茶を飲みながら、認知症に関する相談や意見交換をしたり、認知症に限らずその地域の高齢者の問題の相談に乗ったりすることもある。

___地域包括ケアシステム担当は重要な役割を担っているのですね。

柳沼:そうですね。「地域包括ケアシステムが大事だ」と国からも言われているのに、現場での優先順位は一番上ではありません。日常の介護をしながら、地域との交流をやらなければいけないため、とても難しいのが現状です。なかなか進まなくても無理はありません。
介護現場はみんな忙しいので、PDCAを回せないんですよね。
計画して実行はできても、改善をする時間がないのです。問題点がわかっていても、ここで終わってしまいます。
そこで、地域包括ケアシステムの優先順位が一番になる人をつくりました。担当がいるおかげで、改善ができるようになり、取組がうまくいっていると思います。

地域包括ケアシステム担当は、施設長である私の考えで新設したので、社会福祉法人三幸福祉会の施設のなかでも、うちだけの取組です。

IT委員会を設置して介護ロボットも導入

___新しいですね!新しい取組といえば、介護ロボットも導入されているのですか?

柳沼:はい、導入しています。
うちで導入している介護ロボットは、「HAL®介護支援用(腰タイプ)」「シルエット見守りセンサ」「愛移乗(あいじょう)くん」の3種類です。

▲「HAL®介護支援用(腰タイプ)」は、機器を腰に装着して、普段の介助のアシストをしてくれる介護支援用ロボット

▲「シルエット見守りセンサ」は、プライバシーに配慮するためにシルエット画像を映し出し、徘徊やベッドからの落下などの問題を未然に防ぐ、見守り支援システム

▲「愛移乗(あいじょう)くん」は、下肢の力がなくても、上肢の力があれば介助者の手を借りずに移乗ができる、自立支援型の移乗支援ロボット

▲愛移乗くんは、主に車いすの方が、上半身を乗せるようにして使う

現在この愛移乗くんを使っている方は1人です。
1人のためだけに導入するのはもったいないと思う人もいるかもしれませんが、この実績があるおかげで、今後同じような状況の利用者さんが入居してくれるかもしれませんよね。
さらに、職員の知識と経験にもなります。介護ロボットを導入している施設はまだ少ないので、職員にとっては貴重な経験となり、自信となります。
さまざまな取組をすることで、職員のモチベーションを上げたいと考えています。

介護ロボットは、職員への普及がなかなか進みづらいものですが、うちの施設では「IT委員会」があります。機械に詳しい職員がIT委員会で活躍してくれているので、安心ですね。

「排泄介助・食事介助・入浴介助」そして「笑顔」を加えた4大介護を提供

___職員にも利用者さんにも喜んでもらえそうな多くの取組をされていますね。施設を運営するうえで、大切にしていることはありますか?

柳沼:4大介護を大切にしています。
「排泄介助・食事介助・入浴介助」の3大介護は、介護業界でよく聞くと思います。どれも生きていくうえで大切なことですね。しかし、私はこの3つでは足りないと思っています。足りないものとは、「笑顔」です。
排泄や食事、入浴ができれば、それでいいのでしょうか。いえ、それプラス「楽しんでもらうこと」は、私たちの大事なお仕事だと考えています。
さらに、笑顔といっても「笑わせる」のではなく、「自然と笑顔になる」ことを意識しています。
たとえば、レクリエーションで「居酒屋に行く」という企画があったとします。レクリエーションなので、日にちも時間も決まっていて、一緒に行く人も希望通りとはいきません。「居酒屋は好きだけど、今日は気分じゃないんだよな……」という人もいるかもしれません。こちらの都合で動いてもらうのではなく、利用者さんの行きたいときに行きたい人と大好きな居酒屋に行けたら、職員が笑わせなくても、自然と笑顔になってもらえます。
「自然と笑顔になる」ことを大切にしてるから、うちの施設は消灯時間もなく、お酒もOKです。
私自身も、ブリの解体ショーをしたときに、ブリの刺身をつまみに利用者さんといっしょに飲んだこともあります。もちろん、退勤後ですよ(笑)
そうやって、利用者さんといっしょに自然と笑顔になれる環境づくりを大事にしています。

地域貢献が存在意義の社会福祉法人


___冒頭でお話があったように「社会福祉法人」の運営する有料老人ホームは珍しいと思います。株式会社が運営する有料老人ホームとの違いはありますか?

柳沼:大きな違いは「目的」です。一概には言えませんが、株式会社はある程度利益を追求しなければいけません。社会福祉法人も利益を出す必要はありますが、そこが一番の目的ではありません。社会福祉法人の存在意義のひとつに「地域貢献」があるので、地域貢献に関する取組についてさまざまな許可がおりやすいという特徴があります。
他の有料老人ホームだと、地域の取り組みだけのために人員を配置したり、応援を呼んだりするのは、なかなか決裁がおりづらいこともあると思います。けれど、うちではすぐにゴーサインが出せます。決裁権限は施設長に与えられているので、上司に確認する手間もありません。私が「よし、いきましょう!」と言えばいいだけなので、スピード感もあります。とても地域貢献しやすい環境で、それが三幸福祉会の大きな特徴のひとつでもあります。
この環境を活かして、施設内だけではなく、地域の中でも困ったときに頼られる存在でありたいと思っています。

編集後記

社会福祉法人三幸福祉会が運営する有料老人ホーム 杜の癒しハウス文京関口の施設長柳沼亮一さんにお話をお伺いすることができました。
施設内はとても綺麗で、居心地のいい雰囲気でした。外出から帰ってきた利用者さんに、スタッフが「おかえりなさい」と声をかける姿が印象的で、まさにお家のような空間を提供できている施設であると感じます。

今回の記事では、主に「杜の癒しハウス文京関口」の取組について紹介しました。次回の記事では、柳沼さんに採用などの施設長の考え、介護に対する思いを紹介します。さらに、杜の癒しハウス文京関口の介護主任にお伺いした、仕事内容や一日の流れなどもお届けする予定です。ぜひ、お楽しみに!

▲地域貢献の現場となる1階のロビー。明るく開放的な空間がこのホームの特徴を体現している

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