介護の職種

介護現場で役立つ!認知症ケア専門士とは?資格取得の方法やメリット、合格率などを解説

認知症ケア専門士とは、認知症ケアに関する専門的な知識があるという証明になる民間資格です。
認知症患者は年々増えており、2025年には700万人に達する見込みというデータがあります。
参考:内閣府

施設や病院、訪問介護事業所などで働く介護職員は、認知症の利用者さんと接する機会が多く、介護のプロフェッショナルとしての専門的な知識やケアが求められています。
そのため、認知症ケアを専門的に学びたいと思っている介護職員の方も多いのではないでしょうか。
しかし、認知症ケア専門士の取得によって、現場で必要な認知症ケアの知識が得られるといっても、具体的には何を学び、どのようなメリットがあるのか気になっている方も多いと思います。

この記事では、認知症ケア専門士の資格取得方法、認定試験の詳細、合格率、勉強法、資格取得のメリットなどをわかりやすく解説します。

認知症ケア専門士とは

認知症ケア専門士は、2005年より始まった一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。認知症ケアに関するすぐれた技術を実践の場で活かせる、専門性の高い資格です。
認知症ケア専門士公式サイトによると、認知症ケア専門士の目的は以下のように記されています。

「認知症ケア専門士」とは認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し, わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的として設立
出典:認知症ケア専門士公式サイト

2017年に行われた第13回試験までの累計合格者数は、50,682人です。

参考:認知症ケア専門士公式サイト

介護職員が資格をとる意味

介護の仕事をしていると、多くの職員が「認知症の方に対するケア」で悩む場面が出てくると思います。なぜなら、認知症の方とそうでない方の介護では、まったく別物といっていいほど種類の異なるケアを必要とされるからです。
さらに、認知症には、認知症患者の中でも症状が異なり、一概にこうすべきという判断がしづらい特徴もあります。その時々で、難しい対応を求められることもあるでしょう。
介護のプロフェッショナルである介護職員としては、正しい認知症ケアを知識として身につけておきたいところです。

今まで自分の行うケアが正しいのかどうか不安を感じていた人は、認知症ケアを専門的に学ぶことで、どういうケアをしていくべきかの方向性が出てくるので、自信を得られます。
学んだ内容が今後の仕事に活かされるだけでなく、ケアマネジャーやご家族といった周囲の人から、さらに深い信頼をよせてもらえることもあるでしょう。
より自信を持って認知症ケアを行いたい人、自分の知識を深めたい人には大きなメリットがあるため、介護職員におすすめできる資格といえます。

認知症ケア専門士になるには

認知症ケア専門士になるには、具体的にどうすればいいのか、下記で解説します。

資格取得の流れ

認知症ケア専門士になるには、後述する受験資格を得て、第1次認定試験(筆記試験)を受けます。第1次認定試験に合格したら、第2次認定試験(論述試験・面接試験)を受けます。試験合格後、登録申請をし、認知症ケア専門士の資格取得となります。
資格取得後は、必要な単位を取得することで資格の更新ができます。

受験資格

認知症ケア専門士の受験資格とは、下記の通りです。

認知症ケアに関する施設、団体機関等において、試験実施年の3月31日より過去10年間(※)において3年以上の認知症ケアの実務経験があること

※過去10年間とは、2018年の受験者の場合は、2008年4月1日~2018年3月31日の期間となります。(ボランティア活動や実習は、実務経験に含まれません

認知症ケアに関する施設、団体機関等とは、認知症専門である必要はなく、利用者さんに認知症の方がいる施設や団体機関のことも含まれます
具体的には、下記のような施設・団体があげられます。

  • 介護老人保健施設
  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
  • ショートステイ
  • グループホーム
  • デイサービス(通所介護)
  • 介護付有料老人ホーム
  • 訪問介護事業所
  • 居宅介護支援事業所
  • デイケア
  • 訪問リハビリテーション
  • 通所リハビリテーション
  • 訪問看護ステーション
  • 地域包括支援センター
  • 認知症疾患医療センター
  • 各市町村の福祉課 など

※認知症ケアに携わっている限り、職種や職務内容に関する制限はありません。

上記にあてはまる自分が勤めた施設・団体などに「認知症ケア実務経験証明書」を発行してもらう必要があります。

認定試験について

認知症ケア専門士になるには、認定試験に合格する必要があります。認定試験の申請方法の最初のステップとして、公式サイトから「受験の手引」(定価1,000円)を購入する必要があります。受験の手引きは、認知症ケア専門士の願書となっているため、必ず購入しましょう。
願書の提出後、認定試験の受験が可能となります。
認定試験には、第1次認定試験(筆記)と第2次認定試験(論述・面接)があります。認定試験の詳細は下記で紹介します。

第1次認定試験(筆記)の詳細情報

第1次認定試験の詳細は下記の通りです。

試験日 毎年7月上旬の日曜日ごろ
試験分野 (1) 認知症ケアの基礎
(2) 認知症ケアの実際Ⅰ:総論
(3) 認知症ケアの実際Ⅱ:各論
(4) 認知症ケアにおける社会資源
問題数は各50問ずつで4分野すべてで200問(マーク式・五肢択一)
試験時間は各60分
受験地 札幌,仙台,東京,名古屋,京都,小倉(福岡)
上記の受験地より1か所を選択
受験料 3,000円×受験分野数(4教科で12,000円)
合格要件 各分野とも70%以上の正答率で合格
4 分野すべての合格をもって、第1次試験の合格となります。

第1次認定試験の4つの試験分野について

第1次認定試験の4つの試験分野で勉強する内容を紹介します。

I.認知症ケアの基礎 1.認知症ケアの理念
2.認知症の人の現状
3.認知症の医学的特徴
4.認知症の人の心理的特徴
5.認知症の人を取り巻く社会的環境
6.認知症ケアの原理・原則
7.ケアの担い手
8.認知症予防
9.その他上記以外の関連領域
II.認知症ケアの実際I:総論 1.認知症ケアの視点と目標
2.コミュニケーションスキル
3.ケアの実践的プロセス
4.認知症ケアのアセスメント方法
5.家族への支援
6.認知症の人のチームアプローチ
7.認知症の人と身体拘束・虐待
8.認知症ケアにおける倫理
9.事例報告のまとめ方
10.その他上記以外の関連領域
III.認知症ケアの実際II:各論 1.身体的兆候の理解と対応
2.行動・心理症状(BPSD)とその対応
3.薬物療法の知識
4.リハビリテーション
5.非薬物療法
6.施設・在宅における環境支援
7.ターミナルケアのプロセスと対応
8.その他上記以外の関連領域
IV.認知症ケアにおける社会資源 1.認知症の人にとっての社会資源
2.認知症の人に対するフォーマルケア
3.認知症の人に対するインフォーマルケア
4.認知症の相談窓口
5.地域での認知症の人の支援
6.その他上記以外の関連領域

第1次認定試験では、各分野の合格有効期限が5年間と定められています。つまり、1分野ずつでもいいので、5年間のあいだに4分野合格できれば、次の第2次認定試験に進めます。

第2次認定試験(論述・面接)の詳細情報

第2次認定試験の詳細は下記の通りです。

受験資格 第1次認定試験の合格者(各分野の合格有効期限は5年間)
試験日 毎年12月上旬の日曜日ごろ
受験地 札幌,仙台,東京,名古屋,京都,博多(福岡)
上記の受験地より1か所を選択
受験料 8,000円
試験内容 【論 述】
出題される事例問題に対する論述
【面 接】
6人を1グループとした面接
(当日発表するテーマに合った個々の1分スピーチと約20分のディスカッション)
合格要件 論述・面接の総合評価により,次の5つの要件を満たす者
①適切なアセスメントの視点がある
②認知症を理解している
③適切な介護計画を立てられる
④制度および社会資源を理解している
⑤認知症の人の倫理的課題を理解している

過去5年間の合格率は50%前後

認定試験の過去5年間の合格率は下記の通りです。

認知症ケア専門士の過去5年間の合格率
第13回(2017年) 56.5%
第12回(2016年) 49.3%
第11回(2015年) 59.8%
第10回(2014年) 53.5%
第9回(2013年) 49.3%

毎年50%前後の合格率となっており、決して高い数字ではありません。筆記と面接、総合的に対策し、合格を目指しましょう。

認知症ケア専門士は更新制の資格

認知症ケア専門士は更新制の資格のため、取得後も決められた単位を取得しなければ、資格の維持ができません
更新するためには、資格取得後の5年間で、日本認知症ケア学会が主催する講座や認定する他の団体が開催する講座に参加し、30単位以上を取得する必要があります。
大変ではありますが、資格取得後も学び続けられる更新制の資格のため、知識が定着しやすいうえに、常に新しい知識を学び続けることができます。

※単位などの詳細については日本認知症ケア学会ホームページを参照してください。

勉強は独学か対策講座受講の2パターン

認知症ケア専門士の勉強方法としては、2つのパターンがあります。
1つめは、テキストなどを購入し独学で勉強する方法
2つめは、認定元である日本認知症ケア学会が主催する対策講座を受ける方法です。

独学での勉強法は、決められたスケジュールにあわせる必要がないため、仕事の合間などを利用して自分のペースで勉強することができます。重点的に学びたい分野やあまり学ぶ必要がない分野など、自分の理解度にあわせて勉強時間を調整することもできます。自分のペースにあわせた勉強ができるうえに、勉強にかかる費用はテキスト代のみなので、コストをかけずにできる勉強法です。
テキストは公式テキストである「認知症ケア標準テキスト」のほか、いくつかの出版社から問題集やテキストが刊行されています。

独学のみの勉強では不安があるという人には、認定元である日本認知症ケア学会と特定非営利活動法人認知症ケア教育機構が主催する受験対策講座を受けることをおすすめします。
講座は5月ごろ、2日にわたって行われます。2018年の5月に開催された講座では、1日目は9:30~18:20まで、2日目は9:00~16:35まで行われ、公式テキストの重要ポイントの解説を聞くことができます。2日目の最後には模擬試験を受験することができ、充実の内容となっています。
参加費は2日間で15,000円。
2018年5月に行われた受験対策講座の詳細はこちら

資格取得のメリットとは?資格手当がある施設も

認知症ケア専門士は、民間資格のためほとんどの施設で資格手当を期待することができません。しかし、「認知症ケア専門士の資格手当(5,000円~10,000円)」を設けている施設・事業所もあり、今後、資格取得者の活躍によっては認知症ケア専門士の資格手当が普及する可能性もあるでしょう。
採用面では、認知症ケアの技術や知識をアピールできるため、認知症対応型のデイサービスやグループホーム、特別養護老人ホーム、認知症病棟のある病院など、認知症患者の多い施設で優遇される可能性もあります。

まとめ

「介護」といっても、その技術や知識は幅広く、すべてを学ぶには膨大な量の時間を必要とします。多くの介護職員は、専門的な知識を学ぶ環境がなく、現場で学んだ浅く広い知識で対応しているのではないでしょうか。
ましてや、認知症ケアには専門的な知識が必要なため「どうやって学べばいいのかわからない」という介護職員の方も多いはずです。
そこで、この記事で紹介した認知症ケア専門士の資格取得を目指してみるのはいかがでしょうか。資格取得を通じて得られる知識は、利用者さんやご家族の安心につながるだけでなく、介護職員としてのスキルアップにつながり、よりプロフェッショナルとして活躍するきっかけになるでしょう。

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