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介護職の8割「外国人介護士を受け入れても、人材不足は解消しない」。外国人介護士の受け入れに関する調査を、株式会社ウェルクスが実施

介護職の人材紹介サービス【介護のお仕事】を展開する株式会社ウェルクス(本社:東京都墨田区両国)は、介護のお仕事研究所の読者、介護系のSNS(Facebook、Twitter)の読者を対象に、「外国人介護士の受け入れ」に関する調査を実施しました。

【背景】
EPA(経済連携協定)や技能実習生制度により、日本で働く外国人介護士は年々増加傾向にあります。
2015年度では、東南アジア三ヵ国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)で合計568人の外国人介護士が来日しました。410人であった2014年度から、受け入れ数は確実に増加しています。
厚生労働省によると、2025年に国内で不足する介護職の数は約38万人。外国人介護士の受け入れは、人材不足解消を期待されて、今後ますます進んでいくことでしょう。

しかし外国人介護士の受け入れについて、「トラブルが発生するのでは」と懸念する声も上がっています。そこで外国人介護士と一緒に働くことになる現場職員に、「自分の職場に外国人介護士が入職してくること」について伺いました。

調査結果

1.あなたの性別・年代を教えてください。

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男女比はほぼ半々となりました。
年代比は男性が20代:11.9%、30代:50.0%、40代:21.4%、50代:14.3%、60代2.4%。
女性が20代:16.7%、30代:26.2%、40代:40.4%、50代:16.7%となりました。

2.あなたの役職を教えてください。

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「スタッフ」が60.5%、「主任・リーダー」が19.8%、「管理者」が11.1%、「経営者」が8.6%となりました。

3.今、外国人介護士と一緒に働いていますか?

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「一緒に働いている」が24.7%、「一緒に働いていない」が75.3%となりました。

4.自分の職場に外国人介護士が入職することについて、賛成ですか?反対ですか?

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「賛成」が56.8%、「反対」が43.2%となりました。

5.「外国人介護士の入職に賛成」と回答した方は、なぜ賛成ですか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「様々な価値観が身近に感じられ視野が広がる気がするから」(20代・女性)
  • 「それなりの意欲のある方なら消極的賛成。基準を満たしていても人手は足りなすぎる」(30代・女性)
  • 「どんな職種にも外国人はいるのに、介護職が何故純血主義なのか、そちらのほうがわからない」(40代・男性)
  • 「利用者にも外国人がいるから」(30代・男性)
  • 「以前勤めた特養に、フィリピンの方が二人いた。言葉の問題は多少あったが、ケアの細やかさは、日本人よりも上と感じた」(40代・男性)

6.「外国人介護士の入職に反対」と回答した方は、なぜ反対ですか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「以前中国のかたと働いたが、入居者に対する言葉がキツかった。皆そうではないと思うが…」(20代・女性)
  • 「外国人介護士ではその地方の方言などが分からず、利用者とのコミュニケーションに不安がある。また、少なくとも外国人介護士を入職させる前に介護士の賃金を他業種なみに引き上げるのが先だと考えるから」(30代・男性)
  • 「まず日本人の賃金を上げることが先決」(40代・女性)
  • 「安価な労働力の確保をしようとしているが、介護は身体介護だけでなく家事援助もあるので生活様式が異なる外国人労働者は適していないと思う」(30代・男性)
  • 「訪問介護は利用者様やご家族の理解が困難だと思われるため」(50代・男性)

7.外国人介護士をたくさん受け入れれば、人材不足は解決すると思いますか?

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「そう思う」が17.3%、「そう思わない」が82.7%となりました。

8.外国人介護士を受け入れることで、職場や利用者さんにどのようなメリットがあると思いますか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「利用者さんとの日常会話の範囲が広がる。外国人介護士に分かりやすく教えることで、業務改善点などに気づきやすい」(20代・女性)
  • 「元々中国残留孤児で日本に来られた方、配偶者として日本人と結婚し日本に来たものの、パートナーと別れる結果となった方など、外国語を理解している介護者が必要な場合は多々あります。その際、日本語しか話せない介護職よりもコミュニケーションが図れ、細かい要望なども確認することが可能です」(30代・男性)
  • 「人数が増えることで、時間の余裕が生まれる」(30代・女性)
  • 「別角度、視点からのホスピタリティや、自立支援の切り口、考え方の幅が広がる」(20代・男性)
  • 「特にフィリピン人の女性たちは明るく、年齢にかかわらず可愛らしい方が多いため、利用者の心を明るくしてくれることが多い。また、認知症の方なども英語でコミュニケーションをとろうとしたりして、脳の活性化にもつながることを感じている」(40代・女性)

9.外国人介護士を受け入れることで、職場や利用者さんにどのようなデメリットがあると思いますか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「利用者さんから差別的な発言・思い込みが出る可能性がある」(30代・女性)
  • 「OJTの長期化。言語学習の壁」(20代・男性)
  • 「外国人を下にみているスタッフや利用者と母国では優秀でハイクラスな外国人との軋轢」(40代・女性)
  • 「今の待遇のまま、受け入れたら反日思想を持たれる可能性が高い」(30代・男性)
  • 「言葉の壁や文化の違いなど、生活スタイルの違いで、職員間の連携が上手く行かず、結果的に事故、利用者の不利益につながるのではと思う」(40代・男性)

10.自分が利用者だとして、外国人介護士に介護されることになったらどう思いますか?

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「介護士に国籍は関係ない」が60.5%、「外国人介護士には介護されたくない」が39.5%となりました。

11.外国人介護士について、受け入れると「介護の質が下がる」という意見があります。その中で「介護の質」とは、何によって決まると思いますか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「利用者、一人一人に適した対応が出来るか、出来ないか」(20代・男性)
  • 「安定した雇用形態。その上に成り立つ介護技術。そして、利用者との相互のコミュニケーション」(30代・男性)
  • 「利用者にどれだけ信頼されているか。またはどれだけ利用者にとってどれだけ穏やかに生活できるか」(40代・女性)
  • 「介護過程の理解。根拠を持って介護を実践できる力。多様な方とコミュニケーションを図ることができ、一人一人異なる生活を理解し、利用者それぞれのQOLを高めるために力を発揮できること。など」(30代・男性)
  • 「やる気のない介護師に介護される方がよっぽど介護の質が下がると思うので、介護の質は、介護師本人のやる気と思い遣りを持って仕事に取り組むことが介護の質なのかなとおもっています」(40代・女性)

12.外国人介護士に対して、日本で介護をするにあたって語学以外にも高い介護スキルを求める風潮があります。では、あなたは積極的に介護スキルを上げようと努力・行動をしていますか?

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「努力・行動をしている」が79.0%、「努力・行動をしていない」が21.0%となりました。

13.介護スキルを上げる努力・行動をされていると答えた方は、具体的にどのようなことをしていますか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「利用者様の話を聞き入れ、それにあったサービスの提供をしている」(20代・女性)
  • 「各方面への研修参加や人とのコミュニケーション技法、普段からの生活の見直し等々」(50代・男性)
  • 「研修に行き、最新の介護の現場を知る。他スタッフと話し合う」(30代・女性)
  • 「個人的に、資格に挑戦している」(40代・男性)
  • 「自主的に勉強会や講習会に参加して知識と技術の向上を目指す」(40代・女性)

14.もし自分が逆の立場だとして、海外で外国人相手に介護をするとしたら、やっていけると思いますか?(語学の問題はないものとする)

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「やっていけると思う」が42.0%。「やっていけないと思う」が58.0%となりました。

15.外国人介護士に長く働き続けてもらうには、どのようなサポートをしてあげるとよいと思いますか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「私生活でも気軽に相談が出来るような関係作り」(20代・女性)
  • 「してあげるというのが甚だ疑問。馴染む努力をして欲しい。これは、外国人でなくても言える事ですが」(30代・女性)
  • 「職場単位だけではなく、地域ぐるみの対応が必要。孤立化を防ぐ仕組みづくり」(30代・男性)
  • 「給料は日本人と同水準は必須」(40代・男性)
  • 「母国語でコミュニケーションをとれる同僚や上司の存在」(40代・女性)

16.介護をする上で大切な『真心のケア』は、国境を超えて利用者さんに伝わると思いますか?

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「伝わると思う」が79.0%、「伝わらないと思う」が21.0%となりました。

17.海外の人にも伝えたい、日本の介護の素晴らしさはどのような点にありますか?

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「誰に対しても対等で質の良い真心こもったサービスの提供」(20代・女性)
  • 「キツイと思われがちだか本当は、楽しい」(20代・男性)
  • 「海外の介護を知らないが、細かく利用者を見るところ」(30代・女性)
  • 「日本の介護のすばらしさてなんでしょうかと逆にお聞きしたい テレビでも職員が高齢者を虐待したりするニュースがながれることがある 日本人がえらそうに外国人に指導する立場なのか疑問に思う!」(50代・男性)
  • 「感染防止対策などの面では日本にくる介護スタッフの出身国よりもすすんでいるかもしれないが、高齢者を敬う心の面ではこちらが学ぶことのほうが多い」(40代・女性)

18.「国や人種、言語を超えた介護」についてどう思うか、ご自由にお聞かせください。

コメントの一部をご紹介いたします。

  • 「真心があれば受け入れてくれるし、仕事もなんとか教えたい」(20代・女性)
  • 「フィリピン人、パキスタン人、韓国人、中国人の介護士と一緒に仕事したが、中でもフィリピン人介護士は利用者からの人気も高く、明るく、働き者だ。彼女たちはやる気をもってはたらきに来る。それを育てきれる職場かどうかが一番の問題であると感じている」(40代・女性)
  • 「言語や介護技術だけではありません。その国の文化、習慣を理解していただけないまま、ただ祖国のために働きに来るのであれば断固抗議したい」(30代・女性)
  • 「国や人種、言葉をこえてまで介護をしたい人はなぜそう考えるのか?また、国や人種、言語を超えた人に介護されたい人はどういった生活をしているのか。そこが知りたい」(30代・男性)
  • 「今現在、介護される側の方々の世代は、外国人との関わりがあまりなかったと思うので、自分の身の回りをお願いするには不安があると思うが、これからの人達が介護をされる立場になった時には、今よりも壁は薄くて低くなると思う」(40代・女性)

まとめ

これからますます日本の介護現場に増えていくであろう、外国人介護士。
彼らの受け入れに対しては「介護業界だけが鎖国的な空気でいるのはおかしい」という賛成派の意見も見られましたが、やはり言語や文化の壁を不安に思う意見が目立ちました。
日本人も外国人も等しく働きやすい職場にするためには、現場の介護職がどのような努力や心遣いをするべきでしょうか?
きたるグローバル化に向けて、この機にじっくり考えてみましょう。

アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。

  • アンケート調査概要
  • ・調査期間:2016年10月24日(月)~11月16日(水)
  • ・調査対象:介護のお仕事の読者のほか、介護系のSNS(facebookページ、twitter)の読者となっている全国の20代~60代の男女81名
  • ・男女割合:男性/51.9%・女性/48.1%
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