介護スタッフだって管理職だって、承認で満たされないと自信を失う

私の友人である介護福祉士は、その場を盛り上げる明るさと人を思いやる優しい気持ちが豊かな性格で、職場では現場管理職として責任ある立場を任されておりました。
リーダーとしてスタッフをまとめ、ご利用者のために良い介護を目指してくれることを、周りからも期待されておりました。

にも関わらず、彼には悩みがありました。
それは、周りの人たちの期待していることに、自分の実力が見合わないことへの不安感。自分に自信がなかったのです。

今までご利用者やスタッフたちのために精一杯頑張ってきたのに、周りからの評価が思うように得られないように感じる……。
自分は管理職の能力なんてないのかもしれない……。
そもそも自分は何故今の仕事をしているのだろう?
困っている人の役に立ちたくて選んだ介護の仕事なのに、管理職としての仕事が重荷で介護の仕事が楽しめなくなってきている……。

彼は思い悩んだ結果、職場を辞める決断をしました。
このようなことで実力ある人間が去ってしまうことは非常に惜しいと思います。職場から見ても大きな損失ですし、決断をした本人にも傷が残ります。

彼と同じような悩みを、多くの現場管理職が抱えているのではないでしょうか。

「承認」されないだけで、人間のネガティヴは暴走する

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では、どうしたら自分に自信を持って仕事を続けられるようになるのか。
これには管理職や一般職などの立場は関係なく一人の人間として見ることが大切で、その解決策の一つとして職場に「承認」の環境を作るのも効果があると思います。
人は承認から生きるパワーを得ることが出来ます。
他者からの承認により自信を持ち、自分の存在価値を確認していきます。
ここで働いて良いんだと安心し、自分は間違っていないと勇気が持てます。それが自分のアイデンティティとなり、仕事のやり甲斐を見つけていけるのだと思います。

もし、他者からの承認が無かったとしたらどうでしょうか。
自分は批判されているかもしれない。自分はここには不要な人間かもしれない。自分は仕事が出来ない人間だと思われているかもしれない。
そんな考えに支配され、彼のように自分に自信を持てない状況下におかれてしまう可能性も十分考えられます。
周りはまったく批判的には思っておらず、彼の勝手な思い込みだったとしても……です。

「あなたのことを見ているよ」のさりげない一言

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承認というと堅苦しく思えるかもしれません。
要は、感じたことを素直に言葉にして相手に伝えればよいのだと思います。

  • ・声の大きい挨拶してるね!
  • ・毎日笑顔で仕事してるね!
  • ・よく人を笑わせるね!
  • ・お年寄りと話しているとき、いつも楽しそうだね!
  • ・誰とでも仲が良いね!
  • ・あなたの笑顔を是非見習いたいと思ってるんだ!
承認は褒めるとは少し異なり、何気ない普段の仕草などを言葉にすれば出来ます。
褒めるには良いところを探さなければいけませんが、承認するにはそこまで必要はありません。
でも何気ないことでも言われてみると嬉しく感じ、仕事のちょっとした活力にもなるものです。

それは普段のこと過ぎて、いつも一緒にいる人たちには気付けないかもしれません。伝えるのも今さらで、気恥ずかしいと感じるかもしれません。
そのくらい、私たちの生活は承認のネタが身近にあります。

認め合うことで、私たちは価値ある存在になれる

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その後、彼はどこに行ったかというと、お年寄りの役に立ちたいという志の原点に立ち返るため、他の介護事業所に就職しました。
働く場所が変わればやりたいことが実現出来るのかというと、それは分かりません。
でも実力ある彼ですから、いずれ同じように管理職を任されることになるでしょう。
ただし管理職という立場上、周りの評価や批判などに屈しない芯の強さも時には必要かと思います。
これからも持ち前の明るさと行動力で活躍して欲しいと応援しております。
承認は、毎日の忙しい現場の中では忘れていることでもあります。
でもこの承認で彼の心の中が満たされていたら、管理職としての自分の存在価値を認めることが出来、周りの期待にも応えられる自信がついたかもしれません。
中には、そんな気持ちの弱い管理職では仕事が務まらないという意見もあるでしょう。その通りかもしれません。
しかし、毎日の忙しい業務で管理職としての教育を十分に受けられていない人もおります。
今までの管理職が急に辞めたから、その場しのぎで代わりにさせられた人もおります。
時間をかけて管理職に相応しい教育をしている職場もありますが、そうでない職場もあるかと思います。

あなたの職場でも承認の輪を広めてみませんか。
毎日の承認の言葉によって、ご利用者やスタッフに今以上の笑顔と自信が増えますよ。

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武藤竜也

武藤竜也

作業療法士。他業種から作業療法士へ転向し、臨床経験5年目で老健副施設長に就任する。介護業界の常識に真っ向から異論を唱え、当時の施設スタッフ全員で力を合わせて機械浴の完全廃止を達成。自ら設計したひのき風呂浴室を使った個浴ケアを通して、寝たきりのご利用者にも人として当たり前のお風呂を提供する。現在はフリーランスとなり、医療介護施設ケアアドバイザーとしての活動と、医療福祉業界専門パソコンサポーター むとうドットコムの経営をし、医療介護施設のケアの質向上やリハビリ・介護の仕事の楽しさを伝えている。