インタビュー

【インタビュー】「介護職員が定着する職場づくり」銀木犀<西新井大師>所長 麓慎一郎さん

いま、業界から注目を集めているサービス付き高齢者向け住宅があります。その名は「銀木犀」(ぎんもくせい)。

銀木犀は株式会社シルバーウッドが運営するサービス付き高齢者向け住宅で、土地オーナーからのオファーがきっかけで開始したそうです。図書館、駄菓子屋、高いデザイン性…etc。ユニークなこれらの取り組みが、地域住民やメディアなどから高い評価を得ています。

銀木犀のウェブサイトには

「銀木犀では社員一人ひとりが自分らしさを追求できるよう、働きやすい環境と、やりがいのある仕事や働きがいがある職場づくりを目指しています」

と記されているのを拝見し、取材を申し込みました。

今回お邪魔したのは、2015年5月にオープンしたばかり新しい施設、足立区の住宅街にある銀木犀<西新井大師>。

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所長の麓 慎一郎さんに、銀木犀のこと、職場環境についてお話を伺いました。

駄菓子屋から生まれる地域との交流

銀木犀<西新井大師>の一番の特徴は、駄菓子屋が併設されていることです。

駄菓子屋をハブにして、異世代が自然に交流できる設計になっています。

なお、鎌ヶ谷にある銀木犀にも駄菓子屋がありますが、そちらは「併設」ではなく「同じ敷地内にあるもの」。そのため、サービス付き高齢者向け住宅に駄菓子屋が併設されているのは、この西新井大師のみなのです。

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「サービス付き高齢者向け住宅に駄菓子屋を併設しようというアイデアは代表によるものです。子どもが多くいる地域であることに目をつけ、駄菓子屋をやってみてはどうかとの声で、併設されました」

駄菓子屋は15時に開店し、16時30分に閉店の90分間の営業時間。入居者の方が立候補して店主を務めることもあり、子どもたちと触れ合える楽しみの一つにもなっています。

この駄菓子屋はなんの宣伝もしていないにも関わらず、地域の人を中心に口コミが拡がり、売り上げも好調のようです。

「駄菓子という低単価の商材であるにも関わらず、一日で8000円(!)ほどの売り上げをあげた日もありました」

とお話しされていました。(わずか90分間の営業時間で、うまい棒800本分の売り上げです!)

駄菓子屋が併設されていることで、地域の子供たちの新しい居場所が生まれ、さらには親世代とも交流が生まれ、まさに異世代交流の場づくりがなされています。

「先日は地域の子供を読んでけん玉を教える会を行ったり、同日の午後には大人向けに映画の鑑賞会を行いました。映画鑑賞会のときに駐車場を縁日にしたのですが、子どもたち向けに用意していた型抜き300枚が。すぐになくなったんですよね笑」

駄菓子屋という求心力のあるコンテンツのみならず、地域の方に喜ばれるコンテンツをどんどん提供しているのが、この銀木犀です。

介護職員の働き甲斐のデザイン

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ここで本題。銀木犀のウェブサイトある

「銀木犀では社員一人ひとりが自分らしさを追求できるよう、働きやすい環境と、やりがいのある仕事や働きがいがある職場つくりを目指しています」

について、伺いました。

所長の麓さんは、以前は特養で管理者として働かれていたそうです。(ちなみに、銀木犀にてケアマネジャーとして働かれている奥様は、前職の特養のときの現場の主任だったそうです)

麓さん自身、以前の職場の特養でも定着率改善に取り組んでおり、このようなエピソードをお聞きしました。

「働いていた特養が赤字となり、経営的に難しくなった時期がありました。この状況を職員に伝えるべきか、伝えないべきか迷ったんです。そのとき、『自分が職員の立場だったらどうしようか』を徹底的に考えました

「自分が職員の立場だったらどうしようか」を考えた結果、職員にすべて腹を割って話したといいます。

「みんなに協力してもらうしかない状況だったんです。そこから、危機感をみなで共有できたことがきっかけで一体感が高まり、それにつれて離職率がだんだんと良くなって、職員が定着する職場となりました。」

職員を信頼し、ありのままの姿を伝えたからこそ、職員からの信頼を得られ、職場が安定してきたのだと思います。

意識している2つのこと

銀木犀の取り組みについては、「銀木犀<西新井大師>はオープンしたばかりのため事例といったものはまだありませんが、銀木犀としてではなく、あくまで私個人の考えならば…」と、離職防止について、以下のように教えてくださいました。

「個人的に意識していることは、1点目としては職員とのコミュニケーションです。

麓さんは、「声を上にあげられることが大切」だとお話しされ、パートさん含め、イチ職員と話を始めることが肝心だといいます。

「趣味でもなんでもいいので話すことが、風通しの良い職場をつくることにつながります」。

「2点目としては、自分の行動がどう反映されているかです。モチベーション、人事考課でしっかりと成果を評価することが大切です。」

「やりがい」「はたらきがい」をデザインするには、適切なフィードバックが大切です。「のれんに腕押し」ではないですが、自分の頑張り、行った良い取り組みが評価されなければ、だれしもモチベーションは下がり、やる気を失ってしまいますよね。そのため、「しっかりと成果を評価すること」が大切なのです。

介護職員の離職を防ぐには

介護業界では、これから多くのリーダーが生まれます。介護の現場においては、どのようなリーダーシップが必要なのか、職員の定着のためにはどのような取り組みが必要なのか。

今回お話しを伺った、銀木犀<西新井大師>の所長 麓さんは、「人望のあるリーダー」という印象をもちました。求心力のあるコンテンツ、そして職員をまとめあげ、一丸となって利用者さんのために介護に励む強いチームだと思います。

大切なことを学んだ取材となりました。

フォトギャラリー

銀木犀のなかは、遊び心いっぱいでした。

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随所に遊び心が詰まっている、素敵なサービス付き高齢者向け住宅でした。

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