インタビュー

「ダメ」と言わない支援・教育で利用者も職員も居心地の良い環境をめざす~グループホーム ゆらり並木~

東京の都心部から離れ、ゆっくりとした時間の流れとほどよい自然を感じられる街、八王子市。
その八王子市にあるのが株式会社ライフヘルプサービスが運営する「グループホームゆらり並木」です。

ゆらり並木は、とても広く開放的なフロアーが好印象のグループホーム。
「1日の予定」はほとんど決めておらず、利用者の気分や当日の天気によって「今日は天気がいいから外出しよう!」など、臨機応変に対応しているそうです。

そんな「ゆらり並木」と「グループホームの魅力」について、ホーム長の金子さんとスタッフの飯島さんにお話を伺いました!

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グループホームゆらり並木とは

はじめに、グループホームゆらり並木について紹介します。

ゆらり並木は、グループホームやデイサービス、小規模多機能型居宅介護などの高齢者介護福祉事業を手がける株式会社ライフヘルプサービスによって運営されています。

2011(平成23)年10月に開設し、7年目を迎えています。定員は18名で、現在満床。居室のタイプは個室のみです。
2階建ての造りとなっており、各階1ユニット9名の利用者さんが生活しています。
今回、比較的要介護度の低い利用者さんが多い1階のユニットを中心に取材させてもらいました。

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グループホームゆらり並木を見学!

ここからは、実際に金子ホーム長のお話を聞きながら施設内を見学させてもらいました!

グループホームにお邪魔するとすぐに、広くて開放的なリビングが目に入ってきます。
床は7年目とは思えないほどツヤツヤ。業者に依頼して年に1回ワックスをかけているのでキレイな状態を維持できているそうです。

見学したときは、お昼ごはんが終わったあとの自由時間。
利用者さんは、テレビの前でゆっくり過ごしていました。

▲利用者さん同士で楽しくおしゃべり
金子ホーム長
金子ホーム長
現在は、2階のほうが介護度も年齢も高い利用者さんが多いですね。
9人中6人が90代で、最高齢の方は96歳です。開設時から入居されている方も2名います。
月に1回ほど1・2階合同レクも行っているので、ユニット外の交流もあります。
▲スマホ・タブレットで利用者情報を管理している

ゆらり並木では2019年1月からタブレットを導入し、バイタルや食事量などの利用者情報を記録しています。
食事や睡眠などの記録を入力しておけば自動でグラフ化もされ、確認が簡単にできるそうです。

金子ホーム長
金子ホーム長
まだ慣れていないのでうまく使いこなせていませんが、利用者さんの情報だけでなく、日々の介護記録の確認ができたり、写真が簡単に載せられたりするので便利ですね。

 

▲1階の浴室。座面が外れるタイプのリフト浴

浴室は各階にあり、リフト付き。
1ユニットで1日およそ3人の利用者さんが入浴します。
1階の利用者さんは要介護度が低いため、リフトを使用するのはひとりのみ。現在、使用する頻度は少ないですが、リフトがあることによって、機能が低下したときも安全に入浴することができます。

金子ホーム長
金子ホーム長
私も職員が足りない日などは入浴介助に入ることもあります。
けれど、1階の利用者さんは自立度が高いので、手伝うことが少ないうえに男性ということで拒否もあります。少し悲しいですね……(苦笑)

 

▲1階の掲示板。バス旅行や誕生日会など、多くの思い出の写真が飾られている

おでかけの機会が多いゆらり並木。
フロアーには日光やサファリパーク、山梨など多くの旅行の思い出が飾られています。

金子ホーム長
金子ホーム長
うちは旅行などの大きなイベントだけでなく、近場の外出も多いです。
先日も、たまたま近くに上皇后の美智子様がいらっしゃっているという噂を聞き、職員が急きょお散歩レクを企画して外出しました。
すると、車で通られた美智子様を拝見できたそうです!

昨日は珍しい理由でしたが、普段は「今日は天気がいいから」なんて理由で積極的に外出していますね。

 

ゆらり並木で働くスタッフにインタビュー!

ここからは、ゆらり並木で活躍するスタッフにインタビュー!
話を聞いたのは、入職4か月目とフレッシュな非常勤職員の飯島瑠里子(いいじま るりこ)さんです。

___まずは、1日の流れと仕事内容を教えてください。
飯島瑠里子さん(以下、飯島):ゆらり並木は「早番」「遅番」「夜勤」の3体制で勤務します。
1日のタイムスケジュールはめやすの時間として決まっているだけで、遅くなったり早くなったりしても大丈夫です。その時々で臨機応変に対応しています。

夜間は、お風呂や床の掃除と調味料の補充など細かな作業をしつつ、巡回や不穏になっている利用者さんの対応をします。

1日の流れ

07:00 朝食づくり
08:00 【早番出勤】朝食、食事介助、服薬介助、トイレ誘導など
09:30 入浴(必要時に介助)
10:00 【遅番出勤】【夜勤退勤】昼食づくり、お茶出し、掃除など
12:00 昼食、食事介助
15:00 おやつ
15:30 リハビリ体操
16:00 パッドなどの備品の補充
17:00 【早番退勤】【夜勤出勤】夕食、食事介助、服薬介助
19:00 【遅番退勤】夕食の片づけ、就寝準備
00:00 巡回
02:00 巡回
04:00 巡回

私が担当している1階は自立度の高い利用者さんが多いので、入浴やトイレなどで介助が必要ないこともあります。率先してごはんを作ってくれる人も多いですね。
それにみなさん本当に料理上手!野菜の切り方や味付けを教えてくれて、とても勉強になります。ほかの介護施設では、こんなことありませんよね!

そのため業務内容は、身体介助よりも声かけや見守りがメインです。

▲利用者さんと一緒に夕食の準備中

病院勤務から一人ひとりと密に関われるグループホームへ

___どうしてグループホームで働こうと思ったのですか?
飯島:グループホームは小規模の施設なので、一人ひとりとしっかりコミュニケーションがとれると思ったからです。

前職は、循環器の病院で1年間ほど看護助手として働いていました。
病院は、忙しいうえに患者さんの入れ替わりが激しいので、一人ひとりとじっくり関わる時間をとるのが難しかったんです。入院期間も3か月間と決まっていたので、信頼関係が築けたころに退院されることも多かった。

そういう環境に寂しさを感じていたので、一人ひとりと密に関われそうなグループホームで働いてみようと思いました。

___実際にグループホームで働いてみて、どうですか?
飯島:楽しいですね!
利用者さんと一緒にごはんをつくるなんて、病院では絶対にないですから。

時間の流れも病院とは全然違います。
グループホームも忙しいときはありますが、落ち着いて過ごせる時間のほうが多いと思います。
落ち着いて一人ひとりとじっくり向き合えるのは、すごく楽しいですね。

___楽しく働けているのですね!  逆に大変なこと・不安なことはありますか?
飯島:そうですね……。利用者さんと深く関われることはうれしい反面、不安でもあります。
まだ入職して4か月目なので経験していませんが……「看取り」のときに、精神的な負担が大きいんじゃないかって今から不安になっています。

無資格でも楽しく働けるグループホーム

___それは不安ですね……。
飯島:とくに私は無資格なので、あまり知識がなくて不安に思いやすいのかもしれません。でも、それ以外で無資格をネックに感じることはほとんどありません。……まぁ、お給料面以外で、ですね(笑)。

資格の有無で職員間の優劣が決まることはありませんし、仕事もなんでもやらせてもらえます
もちろん、知識不足を感じることもありますが、楽しく働けていますね。

それは、私が「グループホームは家庭の延長線」という考えのもとで仕事をしているので、仕事というよりも「利用者さんと一緒に生活している」という気持ちが大きいからかもしれません。

その気持ちがあれば無資格者でも楽しく働ける、それがグループホームの魅力のひとつではないでしょうか。

▲耳の遠い利用者さんにも聞こえるように、耳元で優しくゆっくり話していた飯島さん。一人ひとりに対して丁寧にコミュニケーションをとっている様子が伺える

グループホームはテキパキ派よりもおっとり派向き

___グループホームは、どんな人が向いていると思いますか?
飯島:テキパキ派よりおっとり派ですね!
スピードや効率を重視する人よりも、気持ちに余裕をもって仕事をしたい人に向いていると思います。

大規模の施設だと、対応しなくてはいけないことが多いため、逆にテキパキしている人のほうが向いていると思います。
このように施設の規模によって、向き不向きはあるのではないでしょうか。
もし、大規模施設でおっとり派が働いてしまうと、効率重視で評価されるので「あの人は仕事が遅い」と思われて、人間関係も悪くなってしまうと思います。

そんな大規模施設に適応しづらいおっとり派も、落ち着いた時間が多いグループホームでは活躍できます!
時間に追われない環境で働くと気持ちに余裕ができるからか、職員間の人間関係も良好です。

それから、レクリエーションが得意な人も向いていると思います。
グループホームは自由時間がたくさんあるので、レクや体操などをして過ごすことも多いです。

私の場合、前職の病院勤務ではレクがなかったので、レパートリーが少なくて困っています。つい塗り絵やカラオケなどいつも同じ内容になりがちに……。
手を動かしたり、頭を使ったり、体操したりなどレクにはいろいろな種類がありますが、「あの利用者さんに適したレクはどれだろう?」と、いつも悩んでいます。

なので、レクに慣れている人はきっとグループホームでも働きやすいと思います。

「玄関に利用者さんの好きなお花を飾りたい」私の提案を実現してくれた

___ゆらり並木で働いてみて、どうですか?
飯島:ゆらり並木は働きやすいですね。
ホーム長の金子さんは「やりたいことはどんどんやって!」という方針なんです。
職員同士の会話で「こういうことをやりたいね」って話が出たとき、普通はそこで終わりがち。けれど、金子さんは私たちのやりたい気持ちを尊重してくれるので、「じゃあ、金子さんに話してみよう」となり、実際に実現までできちゃいます。

話しやすい・提案しやすい空気」は現場で働く私たちにとって、とてもありがたいですね。

___実際になにか提案したことはありますか?
飯島:玄関にお花があったと思いますが、あのお花を買いたいと提案しました。

利用者さんとお散歩すると、みなさん「お花がキレイだわ」「ほしいわ」っておっしゃるんです。
たまたまゆらり並木の玄関にはなにもなくて殺風景だったので、お花が玄関にあると喜んでもらえるかなと思い、提案しました。
すると、金子さんからすぐに「いいよ」と言ってもらえたので、驚きました!
「いいんだ!」ってうれしくなりましたね。

利用者さんに好きな花を選んでほしかったので、一緒に買いに行きました。
でも、予算があるので「ここからここまでのお花から選んでね」って言いながら(笑)。

買ってきたお花はプランターに植え替えて、玄関に飾ると、みんな喜んでくれました。
けれど、認知症の方なので次の日には「あら、キレイなお花があるわね」とサッパリ忘れています(笑)。

忘れてしまいますが、毎回お花を見て「キレイ」と思ってもらえるし、外の空気を吸うきっかけとして「お花の水やりに行きましょう」と誘えるので、やっぱりこの提案をしてよかったと感じています。

▲飯島さんが提案して、購入した玄関のお花

___やりたいことが実現できるのは、良い環境ですね。
飯島:そうですね。基本的に職員は利用者さんのニーズを叶えてあげたいと思っているので、利用者さんにとっても過ごしやすい環境になっていたらいいなと思います。

最近はどんどん要望が増えてちゃって、「今日かき氷が食べたいわ」「今日ホットケーキが食べたいわ」なんて言ってらもらえています(笑)。

「ダメ」と言わない支援

___利用者さんにとっても、なんでも言いやすい環境なんですね。
飯島:そう思ってもらえていたらいいですね。
ゆらり並木では、利用者さんに対して基本的に「ダメ」とは言いません
ケガや危険がともなうこと以外は、見守る姿勢です。

この方針を聞いた当初は、大きなギャップを感じました。
病院では安全が優先されるので、たとえ能力があったとしても少しでもリスクがあれば介助をします。時間の制約などの縛りも多く、患者さんの自由は少なかったと思います。
それに慣れていると、つい手を出したり、ダメって言ってしまいそうになるのですが、がんばってこらえながら、見守りしています。
利用者さんのうしろから「疲れない?」と声かけしつつ見守っていると、「しつこいよ」って言われますが(笑)。

もちろん、利用者さんが自分でやることによってさまざまな問題が出てくることもあります。それでも、背景には本人なりの「こだわる理由」やなにかしらの「思い」があるので、「問題が出るからダメ」ではなく「問題が出ない方法を考えよう」となります。

すごく難しいことではありますが、そんな支援の方法もあるんだなって日々学んでいます。

___さいごに、全国の介護職員に向けてメッセージをお願いします。
飯島:そうですね……。メッセージにならないかもしれませんが、私がいつも感じていることは、利用者さんからたくさんの元気をもらっている、ということです。

キャラクターのエプロンを着けていることから、私のことをキャラの名前で呼んでくれる利用者さんも多いです。
出勤して「あ、●●ちゃん(キャラの名前)!」と、笑顔で近づいてきてくれる利用者さんを見ると、とても癒されます。

自分がグループホームに向いているかとか、介護に向いているかなんてまだわかりません。
でも、いま関わっている利用者さんの最期は見届けたいと思っています。

「看取りが不安」という気持ちがある一方で、中途半端なところで辞めたくないという思いもあります。
たぶん、最期まで見届けないと気になって仕方なくなると思うんですよね。
だから、不安だけど見届けたい。

その気持ちは、いつも心にとめています。

入職したときはそんな気持ちなかったんですけれど、みなさんの笑顔を見ていると、そう思っちゃったんです。不思議ですね。

本当に、いつも素敵な笑顔を見せてくれてありがとう。
そんな感謝の思いでいっぱいです。

編集後記

株式会社ライフヘルプサービスが運営するグループホームゆらり並木にお伺いしました。

見知らぬ私たちにも笑顔で話しかけてくれた利用者のみなさん。
不穏になったり歩き回ったりすることもなく、おだやかに過ごしている様子にとても驚きました。

ゆらり並木のみなさんが落ち着いているのは、飯島さんのお話にあったように、利用者さんにとって居心地のいい環境を提供できている結果でしょう。

ゆらり並木が気になる介護職の方は、ぜひ見学に行ってみてはいかがでしょうか。
ホームページはこちら

飯島さんのように無資格だったり経験が浅かったりすることで、働きづらさを感じている介護職もいるでしょう。
しかし、そんな職場ばかりではありません。今回取材したゆらり並木のように、資格の有無関係なく活躍できる職場もあります。
自分に合った職場を見つけるためには、さまざまな施設の話を聞いて、見極めていくことが大事なのかもしれません。

次回の記事では、金子さんにホーム長としての考えやグループホームの魅力などをじっくり伺いました。ぜひ、お楽しみに!

※この取材記事の内容は、2019年4月に行った取材に基づき作成しています。

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